第20話 フラッシュバック

ティーナの話を聞いてからどれだけの時間が経過したのだろう


気づくと俺はティーナの前に立っていた


「...んで.....ってた....よ」

「なんでしょう?」

「なんで黙ってたんだよ!!」


ビクッ

ティーナは怯えて震えてしまっている


「ふざけるな!!何でそんな大事な事を黙ってたんだ!!そんなのここでのんびり生活している場合じゃなかっただろう!?

この間に解決できることだってきっとあったはずだ!!」


ちがう...こんな事を言いたいわけじゃない...


「では、貴方になにが出来ますか?」

ティーナは平淡な口調でそう言う


「この世界に来て、まだ何も知らない貴方に何が出来ますか?」

「まだ文字さえ読めなかった貴方に何が出来ますか?」

「平和な世界から来て、剣術も知らなかった貴方に何が出来ますか?」

「魔術の存在さえ知らなかった貴方に何が出来ますか?」


「それは...」

何も言い返すことが出来なかった...


「私だって助けられるなら助けたいですよ!

でもこんなの普通の人にはどうすることも出来ない!

それに私はシュン様のメイドです!

クレア様のメイドでは無いんです!

だったらシュン様にとって1番良い選択肢を選ぶしかないじゃないですか...」


そう言うと、彼女は泣き崩れた


「悪かった。ティーナは何も悪くない。悪いのは...」


俺だ

圧倒的であり完膚なきまでに俺のせいだ


「部屋に戻る...」

「この屋敷から消えないでくださいよ!約束しましたよね!?」


その言葉には返事をせずに書架を後にする


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺のせいだ


俺のせいでクレア様が死ぬ


魔女としての大切な能力を穢させて

俺がクレア様を殺すんだ...


俺を助けるためにほかの人が死ぬ


これじゃ母親の時と同じじゃないか!?


何で俺ばっかりこんなことになるんだよ!


そういや親父が言ってたな

(お前さえいなければ上手くいく)って


そうなんだろうな...俺がいることによって不幸が生まれるんだ...


今回だって俺がいなければそもそもクレア様が能力を使うことはなかったんだ


そしたらクレア様は限界まで魔法を使って器が壊れる事はなかった


俺は異世界に来てもほかの人にとって迷惑な存在にしかならないんだな...


あぁ🙄なんだろう寒いな

寒いけどなんでだろう?

とても落ち着くな...


このまま身を任せてもいいよな?





「...魂よ元に在りし居場所へ還り給へ

魂乖離ソウルコンバーション!」


なんだ?何が起こった?

「...大丈夫?シュン君。...魂に身を任せると

2度と帰って来れなくなるんだよ?」



そこには真剣な目で俺を見ているクレア様がいた




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

魂魄...中国に道教や伝統的中国文明に置ける霊の概念のこと

ここでは魂と肉体とを支える気(魔力)という考え方を採用しています

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