第12話 家来となる

「君には生き残る道がある」


この人は今なんて言った?

俺が生き残る道があるのか?

こんなヤバイ状況で?


「彼女達の誰かに後見人になってもらう。

そうすれば、勇者連合も国家の問題には介入出来ない」


「シエスタ様!?」


さっきのヴァレンタインといわれていた女性が叫び、

赤く長い髪を揺らしながら王様らしき人の所へと駆けてゆく


「王よ 後見人になるということはこの者に爵位を与えるということになります。

この者のした事を考えると誰も納得しないかと」

「構わん、それから先のことは自分でやるべきだ。こちらから気を使ってやる必要はあるまい」


すると彼女…シエスタ様はこの場にいる全員を見渡し尋ねる

「この者の後見人になってくれるものはいるか!!」


















「いないか...ならばしょうがないー」


「...あ、あの...私...いいよ?」

声のした方を見るとそこには俺と同じくらいの年齢と思われる少女が立っていた。

その伸長は俺より少し低く、黒い短髪で目元を必死に隠そうとしている。

落ち着きなく手を動かしている姿はどことなく兎を連想させる光景だった。



そしてその時

この場に居た全員が衝撃をうけたように見えた

「クレア お前正気か!?

こいつの被害を受けたのはお前だろ!?」

被害!?俺はほんとに何をしたんだ!?

「...大丈夫...私がこの人の適任だと思う...」

彼女...クレアと呼ばれる少女は自信をもってそう答える。

そして王様がクレアに確認をする

「クレア本当に大丈夫か?お前は今回の件で大変だろう?」

「...大丈夫です...シエスタ様...任せてください...」


「...そうか、では!これよりこの者シュンを男爵とし、後見人をクレア・シュバルツ公爵とする!」



こうして俺はこの国ドラグニカ王国の貴族となり、魔女クレア・シュバルツの部下となったのだった。




...........................................................................




「ふぅなんとか一段落ついたな」


「シエスタ様本当によろしかったのですか?

どこの誰かもわからない者に爵位を与えるなんて...」

「しょうがあるまい。勇者協定と『竜の契約』がこうして矛盾してしまったのだ

これしか方法ないのだよ」


「しかし...」


「それよりどうだ?マリー あいつに不審な点はあったか?」

「いや〜全くあらへんでしたわ。『審判』はずっと発動してましたけど嘘をついてる様子はありませんでした。」


「そうか...それにしても...怪しいな」

「ホンマですわ。今回の出来事、本気で暗殺しようとしてたんなら『無謀すぎる』。ロイ卿はステレシタ聖王国の筆頭魔道士。こんな盲目的な方法本来ならすぐに不可能だと気付くはずです」


「ロイ卿が使う魔法もおかしかった。

低級魔法を使ったかと思うと急にやけになり禁呪を乱用し始める」

「誰かに洗脳されとったたん云うんがしっくりきますわ」


「恐らくそうであろうな。今回の出来事には黒幕がいると考えていい。黒幕と戦う日がいずれ来るだろう。平和の為の争いとは皮肉なものだな...」

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