第11話魔女の会議

その部屋では様々な議論が右から左へと行き来していた。

なんなんだここは...ここにいる俺以外の人間すべてが女性だったのだ。


「ん?来たか」


玉座に座る長く赤い髪をした女がそういった途端、会話をするものは誰も居なくなった。


「これまでのことは覚えているか?」


これまでのこと?俺が寝ている間に何が起きだろうか?


「いえ...全く覚えがありません」

「なんだと!お前のせいでどれだけの犠牲がでたと思っているんだ!!」

「ヴァレンタイン 止めなさい」

「しかし!」


本当に何が起きだろうか

いくら思い出そうとしてもココ最近の記憶は全て断片的で何も分からない

「...すみません、俺には思い出すことが出来ません...」

「お前が禁呪を乱用したせいでー」

「ヴァレンタイン!

...すまないな我々も昨日の今日で少し混乱しているのだ。大目にみてやってくれ」

「いえ...」

俺は何もいうことができなかった。

「さて、本題に移ろう」

本題?


「『勇者連合』からお前についての扱いの解答が来た。」

勇者連合?なんだそれ?

「『勇者連合』とは勇者が作り上げた共同体の事だ。魔王を討伐した後勇者は自分達が戦争に巻き込まれないように手を組んだのだ」


この世界には勇者がいるのか!なるほど勇者連合に助けを求めればきっと助かる!


「あの、俺勇者連合にー」


「勇者連合はお前を『勇者』とは認めないそうだ。」

「え?つまりどういうこと?」

しまった、つい思ったことが口にでてしまった。

「こんなこと今までなかったのだか...勇者連合はドラグニカ王国からの要請を全面的に却下し、君を勇者ならざる異能の力を持った者とした。

これにより君は身寄りのないただの平民になったということだ。」


「いや、ちょっと待って下さいよ!身寄りのない人間が急に知らない所で暮らせって、そんなこと無理に決まっているじゃないですか」

「呑気だな。そんなに優しい話じゃないんだよ、これは。私達は普通なら『勇者協定』により君を殺さなければならない。」

・・・え?なんで?殺す?

「勇者以外の異能の力を持った者は処刑しなければならない。

『勇者協定』によってそう約束されているんだ」


「そんな...異能の力なんて判断出来ないじゃないですか!」

これは元々、危険分子を排除するための言い訳として使われるものなんだから」


そんなむちゃくちゃな協定があるのか…


「だけど君は他ならぬ勇者連合に判断された」


そんな...死にたくない!!

「くそっ!」

俺はここにから逃げるために駆け出そうとする。



しかし、体は動かなかった。

否『動かすことが出来なかった』

気付くと俺は彼女の前に跪いていた。

本能が、この人の機嫌を損ねてはならないと警鐘を鳴らす

「はい...すみません...」

くそっ逃げることさえ出来ないのか!


「君が生き残る道がある」

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