第4話
九尾の狐……。
平安時代末期の上皇の寵妃で、妖狐の化身とされた。
上皇が次第に病に伏せる様になり、朝廷の医師が原因を解らなかったが、妖狐である寵妃の仕業と陰陽師が見抜いて真言を唱え、九尾の狐の姿を現させると宮中を逃げ出し姿をくらました。
その後那須野で婦女子を
その後九尾の狐は巨大な毒石に変化して、近づく生き物の命を奪う様になる。
村人はその後この石を〝殺生石〟と言って恐れ慄いた。
この〝殺生石〟は上皇の死後も存在し、鎮魂の為にやって来た高僧すら毒気に殺られたが、玄翁和尚が〝殺生石〟を破壊し、破壊された〝殺生石〟は各地へと飛散したといわれている。
「???上皇……?陰陽師???玄翁和尚???リアルな話しか?」
九尾の狐自体本当に存在するのか?残念な事に要は一度も見た事が無い。
あるのは小説やドラマやアニメやゲームの世界だけだ。
まあ……そんな事言えば、忍者も陰陽師も見た事が無いが……。
……だけど先生は、九尾の狐が悪いヤツだとは思っていない。
この九尾の狐は
瑞獣とは、優れた王者の時代に出現するとされているから、先生は神が吉兆を伝えに瑞獣たる、九尾の狐を女官として上皇の元に遣わしたと考えている。
神からの遣いである瑞獣であるならば、それは美しい。
上皇はアッと言う間もなく、その美しさに囚われ、尚且つ博識であるから側に置き寵愛した。
しかし神の〝もの〟を、世間一般が想像する寵愛をできる訳がない。お許しが無い限りその様な事をすれば、命など幾つあっても足りはしない。
ところが上皇の体調不良を九尾の狐の仕業として、陰陽師は正体を曝いて宮中から追いやり、那須野で岩に封じ込めた。
これにはさすがの神が激怒され、封じ籠められた岩より九尾の狐を救い出された後、乱世をお与えになり、二度と瑞獣を遣わす事をされなかった。
傷ついた九尾の狐は、暫しの間長閑な山奥で傷を癒して眠りに就いた。
そして眠りから目覚めた時には、乱世も過ぎ天下も変わっていた。
そして九尾の狐……否、
藻のこの世の者とは思えない美しさに魅入られた若者は、心を囚われて全てを投げ出して藻を愛した。
愛し合えば愛しい合う程、二人はどうにもならない事柄に直面して途方に暮れた。
それは、互いが互いを恋い焦がれ求め合えば合う程、若者は藻に触れる事ができなくなっていったのだ。
九尾の狐の藻は神の御前に侍り、我が苦境をお伝えして助けを求めた。
神は九尾の狐の願いを聞き入れて、二人をご覧になられたが、数多くの高僧や陰陽師やらが、九尾の狐を封じ込めた岩と関わっていたが為に、下手な経や真言が呪詛となって藻の身に降りかかってしまっていた。
これを解くには神とて時間を要するが、遣わしめとして吉兆を伝えに行かせたが為に、この様に人間に裏切られ不運に見舞われた藻を、痛くお哀れみになられた。
その為、神は二人に夫婦になる事をお許しになり、若者に転生の誓いを約束された。つまり、瑞獣たる九尾の狐の藻と愛し合っている間は、若者は幾度となく転生を繰り返し、必ずや二人が添い遂げる事を許されたのだ。
そして先生の話しは、幾度となく繰り返される決して交じり合う事ができぬ、愛し合う二人の模様が切なく苦しく描かれていく……。
……魂は毎回若者が転生する毎に、交じり合っている……
……求め合い惹かれ合い苦しい程に絡み合う……
……だが若者は幾度となく転生しても、藻に触れる事は叶わない……
……あの、まだ深く愛し合う以前に、触れた感触があるだけだ……
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