第3話

「私も多少は有るけど、〝有る〟って事ちゃんと理解してるよ。だって明らかに違うじゃん?それを理解してない要ちゃんは、ある意味凄いよねー」


「飛鳥みたいに理解してる方が、意外と怖いのよ。要みたいに解らない方が、あっちも気づかないから付け込まれないけど、多少持ってるって理解して 鼻にかけたりしてる方が危険な目に遭いやすいのよ」


「ふーんそんなもん?」


「うちは代々、親戚の何処かに持って産まれる子供がいる家系なんだけど、ちゃんと修行ややり方を教えてもらう程のものじゃないから、怖いめにあったり変なものに首を突っ込んで危険な目に遭ったりする事もあるのよ。叔母さんはちゃんと修行をして、除霊もできる人だけど、要みたいなのが一番安全だって……」


「……って言っても、結局の人と会話したりしちゃう事には変わりないでしょ?」


「変わりないって言っても……要は相手が生きていないなんて、思ってもいないでしょうからね」


「そこよそこ……。全く生きた人間と、同じ様に見えるのかしら?少し透けて見えたり、異様に見えたり……って言うか、異様な動きとかするでしょ?意味有りな事言ったり」


「そうなのよね。叔母さんが言うには、要が全く気づかないから、相手も気づかないんだろうって……」


「……って言っても、ちょっと挙動不審な所は有ったよね?」


「う……ん。まあね……。壁に話しかけたり、天井に話してたり……」


「よくそんなんで、イジメにも合わずに済んだよね」


「まあ……イジメにも合わなかったけど、友達もいないけどね……」


「それも気にしないから、ああやっていい所に就職できたのね」


「えっ?」


「〇〇出版って言ったら、人気の出版社だよ。私の友達なんて、何人受けて駄目だったか……。それも、あの貳瑰洞怪の担当者なんて……あっ!守護霊様が凄いのかしら?」


「う……ん。あり得ない事も無いだろうけど……」


「お母さん見えないの?」


「見える訳ないじゃない。飛鳥は?」


「全然……」


「あ、そう……」


清美はちょっと、残念そうな表情を作って飛鳥を見た。


「とにかく、悪いものは憑いていないでしょ?」


「うん。いない」


「だったらいいわ。良い方にしてくれる守護霊様なら」


二人の会話すら気にかけず、要はテレビを見ながら母の手料理を頬張った。

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