35回目:誘咲心結<統一世界>
長い黒髪が風に舞い、白い柔肌が白日の下にさらされる。しばしの間、突然の出来事に茫然としていた
それは
驚いた
「うう……、いきなりなんなの、これぇ……」
目の端に涙を浮かべて羞恥に耐える
「……な、なんなの、これ……」
異様な雰囲気に恐怖を感じた
「っ!? 何者だ!」
先頭にいる騎士の
「あ、あの、助けてください! みんな、おかしく……て……」
すぐさま後ろを振り返って逃げようと試みるが、そこには、先ほどの人々が追いかけてきたのだろう。彼らが壁のように
「……なんなの、なんなの……いや、いやああぁぁ!!」
感情の
だがそれでも人々は正気には戻らない。全身から血を流そうとも立ち上がり、手足が動かなくても這うようにして、
「う……、もう、やだ、……やだぁ」
転生直後から何もわからないままに襲ってくる現実に
もはや裸であることも忘れたかのように
「ひっ……、また、化け物……」
その魔物たちは小柄で人型、細長い耳元まで裂けた口からは、鋭く不揃いな犬歯が見え隠れしている。
そしてあろうことか、小さく体を震わせる
「……え?」
さらに後ろからは、追いついてきた人々が魔物たちを恐れることもなく、そして、魔物たちと同じように
……ありえない。私が彼女に授けた女神の祝福は、身体能力の強化や強大な魔力、言語能力といった基本的なものばかりだ。だから、人間や魔物までもが彼女に
いや、ひとつだけ心当たりがある。転生前から彼女には、周囲の人間や動物を引き寄せる不思議な魅力があった。女神の祝福によって強い魔力を得た彼女は、彼女の持つ、周囲を魅了するその特性を、魔力によって強化されたのだろう。その結果が、これだ。
ただ戸惑うばかりの
「……あなたたちは、私の言うことを聞いてくれるの?」
「はい。私たちの全てはココナ様へ捧げます」
「……あなたたちは、私のために死んでくれるの?」
「はい。ココナ様が望むのであれば今すぐにでも命を絶ちましょう」
彼らは
しかし、幸か不幸か、彼らが命を賭して戦う機会は訪れなかった。何故ならば、
今、
後日、当然のことなのだが、私は女神転生本部にものすごく怒られた。
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