27回目:山臥陽路<太陽を求めて>

 異世界に降り立った山臥やまふし陽路ようじは唖然としていた。生命の息吹を感じさせない灰色の大地に禍々まがまがしく赤く燃える空、……ここは何百年も前に滅んだ世界だった。


 いや、待ってほしい。彼を滅亡した世界に転生させたのは、確かに私だ。転生執行官である女神フルーフ・ツァイトイフェルである。しかし、これは仕方がない部分もある、と思う。


 私が転生先に選んだ世界はファルピュジュツチュツードのはずだったが、陽路ようじが転生した世界はファルピュジュツードだった。


 うん。転生術の詠唱時に言い間違えてしまったんだ。しかも、その言い間違えた名前の世界が実際に存在してしまったのは不幸だった。そして偶然にも、その世界は滅んでいたというわけだ。


「……そうか、この荒れ果てた世界を立て直すのが、俺に与えられた役目なんだな」


 長い沈黙の末、陽路ようじは現在の状況を前向きに捉えたようだ。あー、えっと、もしかしたら、そうだった、かもしれない。……うん、陽路ようじは滅んだ世界を復活させるために、この世界に転生したんだ。


「そうと分かれば、まずは、生存者の捜索だな。こんな世界でも、どこかには必ず誰かが生きているはずだ」


 そうして、熱い志を胸に抱いた陽路ようじは旅立ちの一歩を踏み出した。そしていつの日か、彼は絶望するだろう。彼の希望は、決して叶うことはないのだから。



 ええと、ごめんなさい……。


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