26回目:鳥津歌琴観<風と空の大地>
どこまでも続く青い空が
空の惑星スカイヒメル。空だけが存在する、陸も海も存在しない世界。
生前は空を飛ぶことに憧れ、ついにはビルの屋上から飛び降りて命を落とした
どこまでも落ちて、そして、どこまでも浮かび上がる。
たまにすれ違う人が挨拶してくるが、
お爺さん、赤ん坊、幼い女の子、マッチョ、魔物、……どのような力が働いているのか、女神である私にもわからないが、この世界の住人は皆、何かの力に流されるがままに大空を飛びながら生きているようだ。
この世界を転生先に選んだ私が言うのもなんだが、……何、この世界。
「あはははは~」
それからも何度か人とすれ違いはしたものの、
翌日は雨だった。たぶん雨だと思うのだが、四方八方から降り注ぐ雨を受けてずぶ濡れになりながら、
この日は少しの間だけだが、偶然にも大空を流れる方向が同じだった、一人の魔術士のようなローブを身に纏った女の子と話をすることができた。彼女の話によれば、魔王は南の方角にいるらしい。聞けた情報はそれだけだったが、大きな進展かもしれない。
そして夜が来て、
しかし彼女が目覚めることは二度となかった。飛んできた槍に串刺しにされたのだ。なんという悲劇だろうか。無防備な状態であった彼女にはどうすることもできなかったのだ。
こうしてまた、ひとつの物語が幕を閉じた。
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