18回目:初嶋祐輝<女神の聖剣>
女神の祝福。それは闇を滅するため、異世界転生者に与えられる奇跡の力。女神たちは英雄となり得る人物を異世界に転生させる術を行使し、女神に選ばれた転生者は、世界を救済する使命を帯びる。
そして今、新たな転生者――
「僕は、死んだはずじゃ……」
のどかな空気を感じさせるジュセット村の入り口で、
「知らない場所に、知らない、……剣?」
右手に重さを感じた
「おにーさん、旅の人?」
「あー、うん。そんな感じかな」
目のやり場に困りながらもチラチラと少女を見ている。大きく開いた少女の胸元からは、今にもその奥が覗き見えそうだ。そんな
「やっぱりそうなんだ!ええと、ジュセット村へようこそ。村の外から人が来るなんて、すっごい久しぶりなんだよ」
「ジュセット村?……やっぱり、ここは外国か何かなのか。……ええと、気持ちは嬉しいんだけど、僕、お金持ってないんだ」
「そうなんだ。うーん、……えっと、おにーさんて、行くあてとかあるの?」
「いや、ない、けど」
「じゃあさ、わたしの家に来てよ!あ、大丈夫だから気にしないで。おいしいごはんと、あったかいお布団の代わりに、ちょっと力仕事を手伝ってくれるだけでいいの」
茶目っ気たっぷりな少女に、
こうして、力仕事を手伝い、おいしいごはんを食べ、少女といっしょの布団で眠りについて、
そして、まだ日も昇りきらない朝方に、けたたましい鐘の音が村中に響き渡った。
「な、なんだ?」
突然の騒音に心地よい眠りから引きずり起こされた
外に出た
顔をしかめながらも、ふと、隣の少女を見れば、少女は空を見上げて何かに見入っているようだった。少女の視線の先を追った
「ドラゴン!?」
赤い鱗に覆われた巨大な生物は、体中から炎を吹き上げながら大空を舞っている。物語の中でしか見たことのない幻想上の生物は、今、
握った手を通して少女の震えが伝わってくるのを感じ取った
鞘から剣を抜き放つと、
そしてドラゴンに向き直り、身を屈めるようにして脚に力を込めると、それに呼応するように更なる力が聖剣から体中に駆け巡っていく。
「いくぞ……!」
気合いの声を上げると、
しばらくして、空から落ちてきた聖剣が地面に突き刺さった。それ以外は、何も残らなかった。
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