15回目:桧原璃音<光を身に纏いし勇者>
英雄召喚。それはリーデンヘルク王国に古来より伝わる秘術。世界に危機が訪れた時、王家の血を引く者のみが起こせる奇跡。
そして今、王城の最上階、英雄召喚の儀を
「ここは、どこだ……?」
彼の名は
全裸で現れた
「あ、あのっ、リオン様!」
「わ、私はリーデンヘルク王国の第一王女リーンティア・セルヘイウ・リーデンヘルクと申します。突然、リオン様をお呼びしたこと、申し訳なく思っております。ですが、どうか、リオン様のお力を私たちにお貸しください!」
「え、……えっと、俺は」
突然のことに状況を理解できない
しかし、そのことに気が付いていない
「貴様ぁっ!もう我慢ならんぞ!姫から離れろ、変質者め!!」
「ま、待ってくれ!どういうことだ!」
「自分の姿を見てみろ!」
そう言われて自分の体を確認した
全裸召喚によって
しかし、その喜びも束の間、すぐに新たな問題が発生することになる。
いつまでも全裸では良くないと渡された服を
「なんだこれ……。俺、呪われてるんじゃね?」
おそらくその通りなのだろう。私が異世界転生術に失敗するなんてことは考えにくいし、もしかすると、異世界転生直後から誰かの攻撃を受けているのかもしれない。彼の旅立ちは実に前途多難だ。
――数日後、相変わらず全裸の
「……輝ける勇敢なる光の精霊よ。我が意思に従い、顕現せよ。そして我が身を守り
詠唱を終えると、
これではただの変態だ。
「よし。これで堂々と外を出歩けるな」
その言葉が本気なのか冗談なのか、私には判別できなかった。
そこに王女リーンティアがやってきて、
「リオン様、光を
うっとりとした顔をしている。この王女様の感性も異常のようだ。
ああ、だめだ。もう、いやだ。
私は変態ではないのだ。私は、この物語の続きを知りたいと思わない。だから、これ以上を語ることなく、この話は、終わるのだ。
私が最後に見たのは、街中で警備兵に追われている彼の姿だった。
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