優しい暗闇


  太陽はうちへ帰り

  月と星たちが宿直とのゐに出かける


  黒に染まったこの世界は

  今や月と星たちのもの。


  彼らが放つ光以外に

  本当に

  暗闇を照らすものはない


  僕は錆びた欄干に座り、

  暗闇に身をゆだねる


  そこには誰もいない


  嫌いなヤツも

  エライ人も


  愛おしい人も

 

  ただ暗闇だけが僕を包む

  ただ月と星が僕を照らす


  ここには何もない


  夢

  希望

  欲望

  妬み

  息苦しさ

  痛み


  愛おしさ


  何も僕を縛らない


  あまりにも

  やさしい

  孤独


  あまりにも

  やさしい

  寂しさ


  あぁ

  朝日が顔を出すまでは、

  ここにいよう


  暗闇が僕を包んでいてくれるまでは

  

 

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