あなたの背中


  ただあなたが走り去る背中を見ていた僕は


  あなたのその手を掴むことも

  あなたの背中を追うこともできずに


  立ち尽くしていた。



  本当は、

  「待って」って言いたかったのに。

  「行かないで」って言いたかったのに。



  遠ざかっていくあなたを、

  そっと目で追いかける。


  今にも叫び出しそうな心を、僕はきつく縛る。


  あなたの背中は僕の手を拒んでいたから。


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