過去の日


  いつだったんだろうね。


  あなたが「また明日」って約束したのに、

  「明日」来なかったのは。


  「ごめん」って謝って、

  「おそろいだよ」って言って、

  変ちくりんな顔をしたキャラクターのキーホルダーをくれたのは。


  あれ、全然可愛くなかったし、

  正直、僕はまったく好きじゃなかったけど、

  あなたがそれをくれたことが何よりうれしかったよ。



  いつからだったんだろうね。


  僕が「また明日」って言うと、

  あなたは「明日は来れない」って言うようになったのは。


  あなたは「ごめんね」って言って、僕の顔を見ないようにして、

  走り去っていくようになった。


  あなたがおそろいだと言ったあのキーホルダー、

  昔は鞄に着けていたけど

  今はもう外したんだね。



  最後に会ったのはいつだっただろう。


  僕が「久しぶり」って言うとあなたは

  「久しぶり」って言ってくれたけど、


  僕の目を見てはくれなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る