第6話
山本に写真が届いた時点で、秋谷の計画はほとんど成功したようなものだった。この二十年近く山本に尽くした秋谷にとって、山本の行動を予測するのは容易いことだった。自分が山本を強請って来たフリーカメラマンとの交渉を任されることも全て予測通りだった。
後は山本から金を搾れるだけ搾るだけだった。
全てを一任された秋谷はその夜、名刺のコピー眺めながら吉野に連絡を入れた。吉野が電話に出たら消そうと思っていた短い煙草の灰が指に触れるほど近くなった時、留守電に転送された。
どこかに飲みに行ってもいるのだろうと思ったが、秋谷は僅かな不安を感じた。留守電にメッセージを残すことは止めて、秋谷はたった一人の事務所から引き上げる準備をする。
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