第142話 無様

壊れかけた心をつなぎ止めるために

この手は一体何が出来るのだろう


渾身の力で投げかけた言葉たちも

無様に耳元をすり抜けて行く


毎日毎日太刀打ちするのに精一杯で

このまま壊れていくのを見るだけだ、なんて

柄にもなく諦めてみたりして


そんなにも壊れてしまいたいなら

いっそこの手でぶち壊してしまおうか


きっとそれは悪夢の囁きにも似た誘惑

守ろうとすることに疲れたなら

自分で叩き壊したほうがいい


それでもそのザラザラした手触りが

どうしても虚しく感じてしまうから

たぶん手にかけることなんてできなくて


無力な自分をあざ笑いながら

それでも手を伸ばすことはやめられなくて

今日もまた自分に失望する、そんな夜

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