第102話 冬の陽

静かに暮れる冬の陽に

道に転がる石一つ

握りしめた時間の欠片

ほろりほどかれ涙色


路地裏かすかに呼ぶ声は

鈍くこめかみを貫いて

わずかな熱を追う猫の

背に負う孤独を思いやる


吹き付ける風が自由なら

痛みもきっと愛せるのに

灰色に染まるこの空が

逃げたい気持ちを責め立てる


ああこの空の哀しみを

この手で全て受け止めて

頬に流れる水色を

いつかの夜へ滲ませて


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