第87話 金色の涙

街を彩る秋の木が

吹き付ける風に揺れる

泣けない私の代わりに

金色の涙を流すみたいに

ぽろぽろ葉を落としながら

無言で寂しさに耐えて

止まらないその涙は

道路の片隅に降り積もる


涙の道を踏みしめて

私はゆっくり歩き出す

泣けない私はどうしても

切なさを昇華しきれずに

それでも風に舞う金色が

この体を守るみたいに

取り囲んでくれるから

情けない一歩でも踏み出せる


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