第72話 変わらない空の下で
頬をなでるように流れる
やわらかい風の匂い
しばらくぶりの晴れ間に
ガラにもなく癒やされて
点々と途切れる雲が
空に描くレース模様に
久しぶりに見た水色は
どこか他人行儀に笑う
たとえまたすぐに
閉ざされてしまうとしても
その上には変わらない
空がいつもあるから
だから僕はこの町で
いつも通り歩いて行こう
風がくれた花びらと
ほんの少しの勇気を道連れに
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