第68話 黄色い朝

ぼんやり浮かぶ白い雲

セイタカアワダチソウの群れ

水面に映り込む線路が

ゆらゆらと風に揺れて


モノクロだった視界に

鮮やかな黄色が散らばり

どこかうつろだった影に

かすかな光が差す


流れ込んでくる電車の音が

背中の方から迫ってきて

ゆるい歩みを繰り返す

この体を追い越した


その一瞬の出来事が

とてつもなく哀しく思えて

ただそこにある花を見る

10月の黄色い朝


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