第36話 歩き出す話

閉ざされた扉に指もかけられず

立ち尽くす僕はこの場でただ一人

動けずに今という時に縛られて

振り向いて過去に縋りたくなる弱さ


あざ笑うように飛び立つ白い鳥は

雪のように無数の羽根を踊らせて

その景色があまりにキレイに見えたから

閉じ込めた心を少し明け放つ


いつだって背中を押してくれるのは

不器用な言葉と何気ない出来事

なけなしの勇気を掻き集めた僕は

はじまりのこの道を今歩き出す

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