第10話 白い花の冠を

新しい日差しの降り注ぐ

午前10時の公園で

金網のフェンスにもたれながら

遊ぶ子どもたちを見ていた


ひたすら楽しさだけを求め

無邪気に跳ねる子どもたちは

草原の緑に照らされて

はにかんだように微笑んだ


駆け回る力強い足取りは

この先に続くことを疑いもせず

ただ今を踏みしめた

決して止まることはなく


それをただ見ているだけの

くだらない大人の自分は

信じることを忘れた心に

重く分厚いフタをする


新しい日差しの降り注ぐ

午前10時の公園で

見失っていた幼い夢に

白い花の冠を


その冠はほんの少しだけ

土に汚れしおれかけてはいるけれど

明るく強く頭を飾り

この先に続く未来照らした


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