第6話 フレンVSウルズ兄弟
「弟よ、フレン=バーミリアの位置は特定出来たかい?」
「あぁ、酒場の情報では…今街に出ているらしい」
「そうか、なら人質を準備しろ。バルバリア様と我々の作戦を実行する」
「了解だ、兄貴」
とある施設で、よからぬ会話があった。
ここは初歩の街『スターティア』
初心冒険者の訓練所や、村では無い施設、この『GOD island』特有のダンジョン、『試練の塔』の受付がある事で有名だ。
更に、ここではギルドが多数あったり、職人ギルドもある。冒険者にとっての始まりの大都市となっている。
「うへぇ~、広いな」
街の中央広場で突っ立っているフレンである。
「やる事無いな…ダンジョンでも行こうかな」
Lv8で長ダンジョンに行こうとしていた。フレンには考えがあっての行動であった。
(このドラゴンの力があれば、少しは進めるだろな…)
実際の所、フレン本人では2,3階が限度だが、ドラゴンとの『合体』は想像を遥か上をいく。多分、15階位にはいけるだろう…とフレン自身も感じていた。
「ここがチェックインか…」
フレンが受付に行こうとした瞬間、後ろから誰かに掴まれた。
「ヨォ、フレン=バーミリア」
「ん?!お前達は?!」
「ウルズ兄弟だ」
「貴様に勝負を仕掛けに来た、受けて貰えるかい?」
「なっ…そんなの―」
「そんなの?」
ウルズ兄弟の兄が、フレンの言葉に対し、聞き直すと同時に、ある女性が投げたされた。
「?!貴方は…」
それはこの間、助けた女性だった。
「あらあら、折角の美少女も鎖付けたら奴隷だなぁ(笑)」
「人質ってか、その女性が…」
「飲み込みが早いな、その通り。さぁ、どうする?」
(ここで受けなければ、あの人がどうなるか解らない!なら―)
「分かった、勝負と行こう」
フレンはプロヒィーラーを開き、ウルズ兄弟のチャレンジを受けた。
「ルールは簡単、俺と弟で二回連続で勝負してもらう。いいな?」
「それでいい、早く始めよう」
フレンは剣を取り出す。
「ほぉ…なら俺様から行かせてもらおうかなァ!」
「行くぜぇぇぇ!ヒャッハァ!」
棍棒を振り上げる弟が襲いかかってくる。
攻撃は避ける事に成功するが、同時に相手のパワーが解ってしまった。
地面が抉れるレベルのパワー
突きに入るが、棍棒であっという間に弾かれてしまう。
「くそぉ!」
「へっ!どうした召喚士!お得意のモンスターは出さねぇのか?」
ウルズ弟の攻撃は止まらない。ただ振って寄せ付けてないだけだが、それが逆に近寄れない。1発でも当たれば即死、かといって遠距離攻撃は僕に無い。
だがな!
フレン=バーミリアには秘策があった。
『合体』
「やるしかねぇ!行くぞ」
ウルズ弟から一定の距離を保ち、詠唱を唱える。
「『我々は一心同体―共鳴されし魂よ―』」
「『今、一つの調律となれ―混合魔法』」
「『フィージョナル』!」
メキメキと、フレンの身体からドラゴンの特徴と呼べる部位が生えてくる。
そして龍人間が完成する。
「反撃だッ!」
フレンは地を強く蹴る。脚力も一般レベルを超えている。無論、ウルズ弟には理解できない状況であった。
「ンなッ!馬鹿な―」
「おりぁぁぁぁぁぁぁぁ―ッ!」
強く握りしめた拳を、全力でぶつけた。
見事、顔面にヒット。立ち直れる筈もない弟は血を少し吐き倒れた。
「ほらっ!次、次!」
少年は今、戦いの波に乗っていた。
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