第4話 もう1人の僕

「よく燃えるな…人間」

フレン=バーミリアであった筈の人間が狂気に満ち溢れた雰囲気を漂わせている。

フレンの攻撃を喰らった男2人は睨みつけてくる。

「貴様、何者だ…」

「’’俺’’か…俺は」


「バルバリア=クライシス…そう呼ぶ」


「聞いたことねぇな、兄貴」

「油断するな、奴は恐ろしく強い」

「ンな警戒する必要はねぇよ!俺達は30Lvだぜ?」

弟らしき男は俺を見てニヤつく。腹立たしいな…

「さっさとケリ着けようぜ兄貴!」

「先手必勝」

男2人はフレンの後ろに回る。恐らく『ドーピング 一時肉体強化魔法』だろう。

しかしその魔法は意味を成さない。

「なっ―何?」

「動けないだとぉ?!」


『上位拘束魔法 トラルータ』

フレンの短縮詠唱の後、男2人は肉体精神を完全に止められた。


「今日は大人しく帰れ雑魚、なぁ!?」


フレンらしく無いセリフだった。

女性はフレンの外見と先程の対応とのあまりの違いに少し震えていた。

男2人はフレンの殺意に恐れをなし、すぐ撤退した。


すると、殺意で纏われていたフレンの表情が元に戻った。


「あ…あれ?僕は何を…」

周りは何も無い。助けようとした女性を探すが、もう居なくなっていた。

肩に乗っていたドラゴンがあまりにも僕の頬をつつくので会話をしてみた。


「どうしたの?」

「’’予感何じゃが…お主、相当の’’手練’’に操られておるぞ?」

「て…手練?!」

先程までの記憶が無いフレンには状況が読み込めない。確かに、女性を助けようとした時、何かぼーっとしちゃったけど…


するとドラゴンが服を掴み、話しかける。

「’’お主、少し提案がある’’」

「提案…?」

「’’ここ周辺の事件解決じゃ’’」

「じ…事件…?」

「’’まず、お主を操っておる『バルバリア=クライシス』と、あの男2人じゃな’’」

「バルバリア…?誰その人」

「’’お主の身体を乗っ取った奴じゃ’’」

「は、はぁ…」

「’’予想じゃが、多分アイツらは繋がっておる’’」

「そうなの…?」

「’’あの小娘を守る行為として、相応しくない事が多くてな、違和感ばかりじゃ’’」

「なるほど…」

「’’まぁ取り敢えずじゃが…’’」


「’’修行しよう’’」


ドラゴンの提案により、バルバリアと男2人を倒す為の修行をしていく事になった。

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