第4話 私と先輩と短パンの隙間からはみ出てる15センチ・・・いや20センチのアレ

OH MY GOD!!!!!

神は私を見捨てたのか!?

というかなんでまだ立ってるの!?

なんでさらにはみ出してるの!?

え?もしかして先輩ってそういう性癖を持ってるの?

Mなの?マゾなの?


万策尽きた・・・

もう私にアレをどうすることもできない。

終わった・・・もう諦めるしかない・・・

そう思ったそのときだった。


「見子・・・ありがとな・・・」

「えっ?」

先輩が突然お礼を言ってきた。

もしかして・・・ほんとにMだったの?

と、一瞬思ったが違った。


「その・・・俺の勘違いかもしれないけど・・・元気付けようとしてくれてるのかな・・・って思ってさ。」

「え、いや、その・・・」

まぁ確かに結果的には体の一部分を元気付けてしまったけど。

「お前のおかげで次の試合への気合が沸いてきたよ。」

「でも・・・先輩・・・その体じゃあ・・・!!」

そんなガチガチのままじゃあ!

「ああ、大丈夫。後数分もすれば痛みは引くから。」

「えと・・・そうじゃなくて・・・」

だめだ、言えない。

そんな先輩を傷つけること・・・言えるわけが無い。

それに・・・そんなことを言ってしまったら・・・変態だと思われてしまう。


でも・・・今このことに気づいているのは私だけだ。

もしこのまま私が何も言わなかったら、先輩はこれからもっと傷つくことになるだろう。

それだけは絶対にだめだ!大好きな先輩にこれ以上傷ついて欲しくない!



・・・もしも私が変態だと思われて、先輩の受ける傷が小さくなるなら・・・私は!!


「違うんです!!!」

私は大声で叫んだ。

「え?」

先輩は急な大声に驚いている。

でも、これからもっと驚くことになるんだろうなぁ・・・そして、私を軽蔑するんだろうなぁ・・・。

・・・それでもいい、それがこの人のためになるのなら。



私は、変態と呼ばれたっていい。



「先輩・・・言いにくいんですけど・・・



先輩のアレ・・・勃起してはみ出ています・・・」


ああ、さようなら私の高校生活。

先輩の顔をまともに見ることができない。

きっとドン引きしてるに違いない。

これで先輩ともこの部活ともさよならか・・・

そう考えると涙があふれそうになった。

そのとき、


「教えてくれてありがとう・・・。」


先輩の優しい声が聞こえてきた。

「えっ」

予想外の返答に思考が追いつかない。

「あはは、全然気がつかなかったよ。ごめんね、汚いもの見せて。」

全然気づかなかったのか、それはそれで問題だと思うがそれは置いておこう。

「そんな・・・私のこと気持ち悪いとか・・・変態だとか・・・思わないんですか?」

私が顔を上げて涙が出そうになるのを必死で抑えながら聞くと、先輩は

「そんなこと思うわけ無いよ!!」

真剣な顔で、これまでにない強い口調で言い放った。

「むしろ謝るのは俺のほうだよ・・・女の子にこんな恥ずかしいこと言わせるなんて・・・男として最低だ。」

「そんなこと・・・」

そうか・・・そうだった。

この人はこういう人だった。

仲間思いで、誰よりも優しくて、そして誰よりも自分を許せない、そんな素敵な人だった。

そんなところを私は好きになったんだ。


「ごめんね・・・嫌だよね・・・こんなガチガチビンビンの先輩なんて・・・」

「そんなこと思いません!!」

今度は私が強い口調で言い放った。

今までに無いほど真剣に。

「私は先輩の優しいところも、バレーが上手いところも、誰よりも努力家なとこも、アレがガチガチでビンビンなところも、全部含めて先輩が大好きなんです!!」


言ってしまった。

でも、止まらない、止まれない。


「アレがガチガチでビンビンのどこが悪いんですか!私はそれを悪いとは思いません!むしろカッコイイじゃないですか!!」

「・・・カッコいい?」

「ええそうです!笑うやつらがいるなら見せつければいい!そいつの股間を指差して『小さい』って笑い返してやればいいんです!」

「でも・・・もしも俺のアレがもっと大人しかったらって思うと・・・」

「『もしも』なんてこの世に存在しません!!アレがガチガチでビンビンなのが先輩なんです!今!ここにいる先輩を!先輩自身が否定してどうするんですか!」

「見子・・・」

そうだ、アレの大きさなんて関係ない。

いや、むしろそれも含めて・・・

「大丈夫です・・・バカにされたときは思い出してください。ガチガチでビンビンな先輩が大好きな後輩がここにいることを。」


全部出し切った。

でも、後悔はしていない。

全部私の思いだ。

先輩に届けたい、私自身の思いだ。


「・・・ありがとう。」

先輩は恥ずかしそうに笑って言った。

「いえ!」

私は満面の笑みでそう答えた。


「そうだよな・・・ガチガチでビンビンなのが俺だもんな・・・」

「はい!自信を持ってください!」

そう言った直後、ピーッという笛の音が聞こえた。

「あっ!やばい!もうこんな時間!先輩!もうすぐ試合始まっちゃいますよ!!」

「おっとヤバイ!」

「私がここ片付けておくんで、先輩は先に会場に行っててください!」

「ああ!わかった!!」


そう言うと先輩は走って小スペースから出て行くその直前、振り返って言った。

「新しい俺なりのプレー、楽しみにしておけよ!」

「はいっ!」

そして先輩は戦場へと向かって行った。


アレがはみ出したまま。

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