第3話 私と先輩と短パンの隙間からはみ出てる15センチのアレ
何故だ?体は寝ていたはずなのに、なんでアレは戦闘態勢なんだ?
体と一緒に寝ればいいのに・・・
ハッ・・・もしかしてこれが噂に聞く『朝勃ち』ってやつか?
そういえば・・・合宿のとき男子のみんな下半身を布団に入れたまましばらく動こうとしてなかったな・・・
へ、へぇ・・・男の人ってそういうもんなんだ・・・
感心している場合ではない。
試合の時間も迫ってきている、次の一手でどうにかしなければ。
どうすれば・・・
「よーし、寝てスッキリしたしみんなのとこに行ってアップしてくるか。」
「アップ・・・そうか・・・!」
思いついた、少々荒療治だがもうこれしかない。
この作戦で全てに決着をつける!
「ん?見子?どうした?」
「いえ!何でもありません!先輩!どうせならここでキャッチボールしませんか?」
「え?ここで?何でまた?」
「えっと・・・い、今から体育館行ってもキャッチボールできるスペースありませんよ!それにホラ!ここなら少し狭いですけどアップする程度なら十分ですし!」
「まぁ・・・確かにそうだな・・・」
こういう大会のときアップ、つまり準備運動ができる場所というのは限られている。
特に体育館でアップのできる時間は限られているので、様々なチームがこぞって場所取りを繰り広げている。
試合前にボールに触れてアップできるかどうかというのは、バレーボールに限らず球技では重要だ。
まぁ人通りの少ないこの体育館裏の小スペースでなら問題ないだろう。
「じゃあボールとってきますね?」
「え?いいよ俺がとって」
「いや!!先輩は!!ここに!!いてください!!!」
「え?でも」
「シャラップ!!いいですね!!絶対出ないでください!」
「は、はい。」
危ない・・・今のはいささか不自然な対応だっただろうか。
とにかく、早くボールを持ってきて作戦を実行せねば。
私は小スペース出て、全力疾走でボールを取ってきた。
すれ違った何人かの人に奇異の目で見られたが気にしていられない。
ものの30秒ほどで小スペースに戻った。
「はぁはぁ・・・じゃ、じゃあ・・・はぁはぁ・・・始めましょうか。」
「あ・・・うん・・・大丈夫?」
「だ、大丈夫・・・です」
全力疾走したせいで息も絶え絶えだ。
「い、いきますよ」
私は息も整えないまま先輩にボールを投げた。
所詮女子の投げるボール、先輩は軽々とキャッチする。
先輩も肩を温めるため軽めにボールを投げ返す。
こんなボールのやり取りをして体を温めていくのだが、
私の作戦はここから始まる。
「キャッ!」
先輩から投げ返されたボールをわざとらしく小さい悲鳴を上げてキャッチした。
「あ!すまん!強く投げすぎたか!?」
「えへへ、せんぱーい私だって女の子なんですから優しくしてくださいよー」
「あはは、悪い悪い。」
「じゃあ行きます・・・・ よおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
私は全力で振りかぶってボールを投げ返した、
先輩の股間めがけて。
ボゴン!!!
そんな衝突音が小スペースでこだました。
そして次の瞬間、
「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
先輩の絶叫が鳴り響き、その場でうずくまってしまった。
私がこれまでの人生で聞いてきたどの絶叫よりも、痛みと恐怖が伝わってきた。
まぁ私にはその痛みは分からないんだけど。
先輩はうずくまったままピクピクしている。
「ぁぁ・・・ぁぁ・・・・」
小さいうめき声も聞こえる。
ちょっと大げさ過ぎないだろうか、そんなに痛いのか?
まぁ確かに私の右肩を賭けて投げ放った渾身の一球ではあったが。
これが私の最終作戦、ポールクラッシャーだ。
さすがにこんな深刻なダメージを受ければアレもしなしなになるだろう。
「す、すいませ~ん!すっぽぬけちゃいましたぁ!てへ☆」
もちろん嘘だ。
実は私は小学校の頃ソフトボール部でピッチャーをしていたことがあるのだ。
そのおかげで肩は結構良く、仲間たちからはデストロイヤー見子と呼ばれていた。
「大丈夫ですか?ぶつけたところ見せてください!」
コンクリートを打ち抜くと言われた私の一球を受けて、アレはどうなったのか確認するために先輩に近づく。
「ぁぁ・・・だ・・・だい・・・じょう・・・ぶ・・・」
・・・もしかして試合前に再起不能にしてしまっただろうか、二つの意味で。
「わ・・・私ったら・・・先輩はこれから試合なのになんてことを・・・」
私は口を両手で多い、今にも泣き出しそうな表情をした。
その表情を見た先輩は、
「ッ!・・・だ、大丈夫だって・・・ほ、ほら・・・もう立てるよ・・・」
足がガックガクに震え、顔が真っ青になっているがなんとか立ち上がって見せた。
アレも立ち上がって見せていた、しかもさっきより立派に。
しかも、ズボンの裾を潜り抜け、完全に外界へ飛び出していた。
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