真夜中の魔物

お日様が山の奥に隠れちゃって

僕らみんな闇の魔物の腹の中

ぱっくりと食べられちゃったよ

とっぷりと暮れちゃったよ


光を見つけた人たちは

闇をせっせと照らしてる

小さな小さな灯火が

そこら辺りだけを照らしてる


どんなに光を作っても

代わりに何かを消費してる

魔物の中では永遠ではありえない

空の星たちはあんまり遠いから


満ちていく透明で清らかな何か

この時だけは心の中で聖人になる

どんな事でも許せるような

誰かに会ったら忘れちゃうんだけど


暗い景色も悪くないのさ

闇の中で輝くものもあるのさ

星たちやお月様や光る生き物たち

電気の光にろうそくの炎にネオンサイン


気をつけなくちゃね

闇に紛れて気配を消して近づいてくるよ

色んな誘惑が近づいてくるよ

安易に手を差し出していいのかい


みんなみんな魔物の中で

ほら怪しい波長に感応して

不思議な踊りを踊ってみようか

受け取ったメッセージを歌にしようか


犬たちだって吼えるこんな夜

本当は不安なんて何もないから

けれどみんなみんなお酒におぼれてる

いつもの景色も妖気に笑う


誰だって淋しさを紛らわせてる

シルエットだけの会話は心のまんまになって

偽りも真実もより輪郭がハッキリしているね

どこかで笑い声が 偽物の感情で そこかしこで


見上げようよ

魔物の腹の上を

クジラが潮を吹くみたいに

いつかここから飛び出せないかな

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