沈黙の部屋

静かな静かな気配は

いつだって当たり前にそこに在る

有り触れた沈黙

目を閉じて幻の声を聞いている


透明な透明な光の音

今体中を駆け巡ってゆく

エネルギーは質量に変換されていく

この体中から発散されている何かも


じっとしていると退屈だから

もっともっとこの気配に溶け込もう

大丈夫 存在そのものはなくなりはしない

代わりにもっともっと大きなものに包まれるよ


心の変化

魂の変容

常に変わりゆくべきものたち

山や川でさへ長い時間をかけて変わっていく


何も聞こえない

耳をすませば

小さな小さな音たちが囁いている

それは軽く無視出来るほどの騒がしさで


物言わぬ空気

言うはずがないよね

ずっとじっとしているもの

この部屋はそんなものたちで満ちている


風の音でも聞こえたら

もっと別の感情も抱くだろう

けれども今はただ窓から漏れる光たちに

幻の世界への片道切符をねだり続けるだけ


でもね、それは簡単なの

まぶたを閉じればいいだけなんだから

丁度ここにお日様の愛を沢山受け止めたお布団があるから

その中に入って横になればいいだけなの


眠くなくても眠くなるよ

耳に届くここじゃないトコロからの物音

全部全部なかった事にして

許されるギリギリまで眠っていようか


部屋の中の無機質な物たちは

今日も相変わらず黙ったまま

たまには愚痴とかこぼしていいんだよ

長い事ここにいるんだから色々溜まってるんじゃない?


ああ 最近おかしな夢ばかり見るのは

きっとそう言う事だったんだ

物たちの聞こえない声もここならきっと届くね

ごめんね もっともっと大事にするからね


長い長い沈黙

ずっとずっとそれに付き合ってみよう

胸の奥から聞こえてくるメッセージは

たまにすごく大事な事も教えてくれるよ

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