うなる気流

風はうなり 電信柱は叫びます

こんな星の見えない夜に

まるで何か物語が始まりそうで

外とは対照に物言わぬ部屋


宇宙銀河の成り立ちは

始まりひとつの光から

天井に輝く蛍光灯

ひとつを中心に世界は回る


ごうごうごうごうごうごうごう

からん からん からかららん

何やら外は騒がしい

風の音に見えない気流が巡ります


これから先のこの御時世

一体何が起こるやら

星の見えないこの夜に

先の見えないこの闇に


占い師の見つめる水晶玉

私にも何か見えるかな

水晶玉が映すのは心の世界

曇った心に曇ったビジョン


この夜を不安で過ごす私たち

毎年の風景なのに環境は変わるから

変わらぬ努力が明日を紡げばいいけれど

何分この世は世知辛い


風はまるでいらだつように

ごうごうごうごうごうごうごう

後ろ向きばかり考えるんじゃないよって

この世界を信じて歩けって言ってるようで


そうだね きっと

厳しくてやさしいこの世界は

どんな時だって見捨てたりはしない

心の向きを外さなければ分かるはず


風が治まり不意に訪れる静寂

時間だけがゆっくり過ぎていく

相変わらずの闇夜だけれど

微かに感じる希望を胸に抱いて眠ろう

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