淋しい王様

闇夜の冷たい風の中

淋しい王様が砂の城に住んでいる

淋しい王様の住む淋しい城は

王様以外は誰も居ない

そんな砂の城


風が吹いても崩れないように

王様の朝一番の仕事は砂を固める事

丹念に丹念に塩を塗りこみます

さあ今日も一日持ってくれよ


空に星がいくら照らしても

淋しい国に光は届かない

光が嫌いな王様が

光のない国を作ったから


王様以外が居ないのは

みんな光を求めたから

淋しい淋しい王様は

だから今日も一人ぼっち


今日も今日とて砂の城

これさえあれば平気だと

王様一人座ってる

自分の中の他人と喋ってる


大きな大きな箱庭の

砂が広がる大きな砂漠

時折強い風がどこからか

箱庭の中を駆け巡る


暗い暗い闇の中で

眠りたくても眠れない王様が一人

ずっと一人で砂の城に住んでいる

こんな快適な場所は他にない

誰にもこの城は渡さない


ある日寝苦しくて目が覚めた

何もあるはずのない天井に

何かがきらりと光ってた

王様ビックリ驚いて

慌てて全ての窓閉めた


大きな大きな箱庭の

蓋を開けたの誰かしら

あそこの迷子のクロネコかしら

それとも悪戯大好きおサルさん

ちょっかい出すのはいつだって

無垢で無邪気な元気もの


王様王様気をつけて

今日も城にこもりきり

城のメンテも忘れてる

あれからお空に星キラリ

王様城から出ようとしない


ほらほら王様このままじゃ

大事なお城が大変よ

星の見えないこんな夜

どうなる事か分かるでしょ

どうしたらいいのか分かるでしょ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る