綿毛たちの大冒険

ほわほわタンポポ綿帽子

強い風は今日も吹きません

ゆらゆら茎は揺れるけれど

旅立ちの日はまだまだです


青くて青くて高い空

僕らも早く飛びたいな

お母さんが旅した高い空へ

青く青く澄み切ったあの空へ


ずっとずっと続く風待ちの日々

風はやさしく揺らすだけ

時はまだだよと笑うだけ

あせっても仕方はないけれど


雲がのんびり泳いでる

必死に空を眺めては

妄想ばかりが広がるばかり

どんな所に行こうかな

どんな所にたどり着くかな


長い長い空の旅を楽しんで

ずっとずっと遠くに行きたいな

見慣れた景色はどこにもないような

そんな見知らぬ所に行きたいな


ああ 風の神様は

とっても気まぐれ神様で

不意に強く吹いたと思ったら

後もう少しの所でぴたっと止んで

僕らのすぐ隣の綿帽子

さっさと風に乗って行っちゃった

うらやましがる僕らを気にも留めずに

あいつらは一足お先に行っちゃった


僕らも早く行きたいな

見知らぬ世界へ大旅行

一世一代の大旅行

最初で最後の大旅行

旅立ちの日もその行き先も全部風任せ

全部運頼みの命をかけた大旅行


青い空は今日も何も言ってくれない

もうそろそろ僕らの順番が来てもいい頃じゃない？

あなたからも風の神様にお願いしてよ

見果てぬ冒険に胸躍らす日々、あなたにもあったでしょう？


あ、でもよしてくれよ

その息で僕らを飛ばすのは

それじゃあ旅はすぐに終わってしまう

僕らは大空を旅したいのさ

限りない大空を限りなく飛び続けていたいのさ

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