行きつく先は『書きたいものを書くしかない』


 これはどういうことかというと、編集の方も読者様も、そして書いている自分も、それぞれに異なる思惑があるという考察です。


 例えば編集の方で、どっかで見た世界観やジャンル及び設定はそれだけで不利になるという声をよく耳にします。


 しかし、読者としては自分の読みたいジャンルや好みの設定の物語を読みたいと思っているのは間違いありません。


 例えば私なんかは医療物が大好きで、以前は狂ったように医療物の漫画やドラマを読み漁った時期がありました。もう医療ってだけで面白く読めてしまえるように脳内が勝手にイメージ補正しちゃってるんです。


 それはロボットものや時代劇もの、異世界やハーレムであったりツンデレ要素など、人によって違うと思いますが、『どこかで見たような流行りもの』とは、それだけ安心して面白く読める条件とも言えます。



 ただ、資本主義の大原則として、物の流れは後になるほど偉いという原理があります。


 つまり『お客様は神様』というわけですね。これは商品で言えば製造業者よりも仕入先が偉く、仕入先よりも消費者が偉いという実態のことです。


 ですので、小説コンテストに置き換えれば、小説の書き手はものの流れのスタート地点にいるわけでして、受賞するためには色々考慮する必要があります。まず選考者に対しそのレーベルカラーに沿った特色にしたり、まず選考者が通したいという内容にしなければなりません。


 そして選考者も自分の好みだけで選出できるわけではなく、読者、消費者に買って貰える内容のものを選ばなければなりません。


 これは結構な苦悩だと思います。内心、もうお腹一杯だ!と思うようなジャンルや設定であっても、それが消費者のニーズであればそれを無視することは敵わないでしょう。


 しかしその流れも絶対とは言えません。『お客様は神様です』の原則もたまに例外が発生します。それは売れすぎちゃって立場が逆転する場合です。供給より需要が増えて自身が主体になっている企業をよく見ますよね?そうですアレです。


 小説でも趣味で無料ネット公開される時代になって、そういうことが稀に発生します。例えば普通は小説の公募なら会話文だけの小説とか絶対に通らないと思いますが、ネット上で人気が出過ぎて、その後商業においてもクリティカルヒットした作品がこの世には存在します。

 

 

 要するにそれぞれに思惑があっても、そうはままならないことだらけなので、結局自分が書きたいように書いたものを面白くするのが一番ということですね。


 ちなみに超がつくほどクリティカルヒットするのは親しみやすい王道ものによく見られます。これは奇をてらいすぎると敷居が高くなってライトユーザーの端っこまで消費者層を広げられないという鉄則があるからです。

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