第59話:皮・骨・内臓・筋肉

 昨今かなり「ノープランで書く」という人が多い。プロでも池波正太郎とか、村上春樹とか、小川洋子とか、有名な作家がそう言うと素人は影響を受けやすいのかもしれない。


 自分が今あれこれ考えている話は、短い断章の集積による長編なので、ノープランで思いつくままに書いても良いし、後で配置を並べ替えるのも自由である。


 しかし全体のバランスを考慮すると、どうしても「このエピソードは前の方に置くべき」「これは何となく七合目くらいにあるべき」と、配置が気になってくる。


 そこで、今のところ以下のような順番で書き進めている。


 1.書けそうなエピソードのサブタイトルを書き出してみる(50から70くらい)

 2.その中から中心的なエピソードを選ぶ(15くらい)

 3.中心になる15のエピソードの前後に入るようなエピソードを考えて埋める


 人体でいうなら、最初に考えるサブタイトルが「皮」で、中心的なエピソードが「骨」、後から書き足すのは「内臓」や「筋肉」に該当するのかもしれない。


 この書き方だと、いざ書き始めた後で急に意欲が薄れるような時期が来ても、そこそこの全体像は予めできているので、大失敗にはならない。よって2を過ぎてしまえば、かなり安心できる。2や3で行き詰まったら、また1に戻るというのもありだ。


 この方法で層を重ねるように書いていく作業に比べると「ノープランで頭から書いていくぜ!」というのは、かなりリスクが大きい。もちろんリスクを承知の上で、アドリブ感を重視する人もいるので、誰にでもお勧めはできない。しかし、決まった線路があるからこそ脱線を楽しめるではないか、という見方もできそうである。

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