第58話:食べ物でいうと何か?
黒澤明は「七人の侍」を製作するにあたって「ステーキの上にうなぎのかば焼きを乗せ、カレーをぶち込んだような、観客がもう勘弁、腹いっぱいと いう映画を作ろうと思った」と語っていたそうである。
自分の場合は、食べ物でいうなら寒天のような、栄養がなさげで、意味やメッセージや自己主張がなくて、地味とも思われないほど地味で、そして何となく食べると美味しいような、ついでに言うと皆から何となく好まれるような、そういう小説を書いてみたいと思う。
このように「食べ物でいうとしたら何を書きたいのか?」「自分が書きたいものは食べ物でいうと何?」という設問は、わが身を振り返る意味では有益な質問かもしれないし、今後の指針にもなるだろう。
【余談】そういえば回文にも意味がない。あれはただ「逆から読んでも同じ」という課題をクリアして「成立している」というだけで、メッセージ性や主張に乏しい。乏しいというより空洞のような表現である。あれはもう表現ですらなく、記号の組み合わせというか、それでも何となく教訓やメッセージを感じてしまうので、音楽に近い。回文こそは正しく寒天的な創作物ではないだろうか。
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