第52話:「なぜ書くのか」という問い

「なぜ書くのか」という問いに対して、いったい自分に固有の、しっかりした理由があるのだろうかと考えこんだ経験はないだろうか。


 私は文章を書くこと全般については、こういう理由があってコレコレをしています、という感覚が薄い。


 創作でもブログでも仕事でも、その理由は主に、

「文章を書くこと自体が楽しい」

「書いているうちに物事が整理されてクリアになる」

「書いているうちに、さらに新しい考えが浮かぶ」

「そもそも色々なことを思いつきすぎるので、外に出さないと頭が変になる」

 といえば、まあ大体は当っている。


 自分自身をアピールしたいとか、メッセージを伝えたい、「自分を表現したい」といった理由はほとんど自分の中にはない。


 最近ちょっと思いついたのは「情報を共有(シェア)したい」という点である。これは創作でも創作論でも、エッセーや仕事上の手紙でも、全てに当てはまる。


「私はこういうことを考えていますよ」とか「こういう本がありますよ」といった、有益と思われる何らかの情報を発表・公開して、それが(できれば)広くシェアされる、というのは文章を書く動機、目的、理由としては弱そうだが、自分の場合、実は全てを統合できる理屈ではないかとさえ思う。ただこれも、人によっては同じようなことを考えていても「自分のメッセージを皆に伝えたい」になるのかもしれない。


 かといって自分は「世のため、人のため」に文章を書いているという訳でもない。やはりニュアンスとしては「共有(シェア)したい」という線が最も自分の意識に近い。

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