第27話 サイモンVS アイ

話は、アイが校庭にいる生徒達を凍らせている時に遡る。


縷々家学校 A棟 一階、保健室


サイモン「よいしょ、と…」


サイモン先生は気絶した半魚人を染みだらけのボロボロのベッドに寝かせる。

本当はもっといい設備のベッドを使いたかったが、これが保健室で唯一使えるベッドなのだ。


サイモン「すいません、本当は気絶させたくありませんでしたが、私も死にたくはありません。

せめて、この異常事態が終わるまでここで横になっていてください。」


気絶した半魚人に話しかけるサイモン先生。しかし意外にも答えは返ってきた。

…後ろから。


「動くな。」

サイモン「!?」


サイモンは思わず振り返る。そこにはハサギが立っていた。銃を構えており、それはサイモンの頭を狙っている。


サイモン「あなたは、ハサギ先生…。何故そんな物騒な武器を?」

ハサギ「悪いね、俺の本業はこっちなんだ」

サイモン「・・な、何故あなたかここにいるのです!」


ハサギは銃を下ろし、警察手帳をサイモンに見せる。

ハサギは銃をしまい、サイモンの質問に答えた。


ハサギ「…。

俺は別件で学校に潜入していた。犯罪組織ゴブリンズが近々この学校を襲う計画を立てていた事を、俺達は掴んでいたんだ。だから今日からしばらくここで潜入して様子を見ていたつもりだったが…。

 まさかバナナの皮を踏んで気絶している間にこんな異常事態になっているとはな」

サイモン「…ゴブリンズ、とはあの義賊ですよね?悪事を働いた組織から金を盗み出し、介護や福祉施設にその金を送る、義賊。

 それが何故この学校に?」

ハサギ「悪い、俺もそこは掴めなかった。

だからこの学校の悪事を暴く理由でも単独で潜入していたんだ。

 だがサイモン先生、この異常事態はもしかしたらゴブリンズの仕業かもしれないぞ」

サイモン「え?どういう事です」


ハサギは恥ずかしそうに頭を掻いた。


ハサギ「あのゴブリンズの仲間にはな、魔法使いがいるんだ。あまり信じられない事だがな」

サイモン「ま、魔法使い?この、科学最先端の時代に…」

ハサギ「だからこそ、科学に頼る警察(俺達)は何度も奴を逃がした。そして今、科学じゃ説明出来ない事が起きている。」


サイモンは窓の外を見た。

急に表れた不気味な日食。そして庭を徘徊する魚人化した生徒達。

これが全て、魔法使いの…ゴブリンズの仕業によるものだというのだろうか?


サイモン(とても信じられない…しかし、

ハサギさんの話が嘘だとは思えないし…

 …ん?)


サイモンは眉を潜める。

窓の外の半魚人が慌てふためいてるからだ。

そして次の瞬間、銀色の腕をした男…アイが半魚人に迫り、銀色の球体を投げつける。

すると、半魚人が一瞬の内に凍りついたではないか!


サイモン(!?)


アイはサッと窓を横切り、見えなくなった。

驚愕しているサイモンの耳に、ハサギの声が響く。


ハサギ「ゴブリンズのリーダーは『氷鬼』アイ。銀色の義腕が特徴の、二十代の男だよ。」

サイモン(…!

 彼が…ゴブリンズのリーダー!

 ば、馬鹿な…そんな、そんなバカな話が…)


サイモンの脳裏に浮かぶのは否定。

あの優しい男が犯罪者のワケがない。

あの情けない男がこんな悪事を働くワケがない。

しかし、それを全て打ち砕くように窓の外にたっている半魚人は凍り付いている。

そしてその目は、

ハサギ「〜〜〜〜」

サイモン(…。)


ハサギがまだ何か話しているが、サイモンにはもうその声は聞こえない。

聞こえるのは、ついさっきまで仲間だと思っていた男の言葉。



アイ『あ〜あ、あいつら何同じ所をグルグル回ってんだが』

アイ『それにしても意外だな。

 最強の能力者と言われたあんたが、ここにいるなんて』

アイ『大丈夫だ、俺も一応、教師。

 やるなら生徒(ガキ)にバレないようにやるさ』


サイモン(そうか。そうなんですか…!

 あの男が、私の生徒達を化け物に変えたのか。

 あれが、ただの演技だとなんで見抜け無かったんだ!!)

「ハサギさん!すいません!」

ハサギ「だから、今回…ういっ!?」


バリィン、と窓を割ってサイモンは外に出る。


サイモン(あいつが!

 あの男が私の生徒をやったのか!

 畜生、二度も仲間を失ってたまるか!!)


そしてサイモンはアイの前に立つ。

アイという男への、激しい怒りと憎しみを背負って…。





ハサギ「え?あれ?

 …もしかして、俺はとんでもなく余計な事を言ってしまった…?」


正解です。

そして、話は元に戻る。





縷々家学校 校庭


サイモン「膨張(パンプアップ)!」


サイモンの右腕がぶくぶくと膨れ上がり、  それはまるで肌色の電車のようであった。

ただの電車とは違うのは窓が無い事と、先頭が巨大な拳であると言う事だ。


アイ「う!?」

サイモン(つぶす。つぶすつぶすつぶす!!)

「さあ、つぶれろ!!」


肌色の電車が今、アイに向かって発車された。


アイ(デカすぎる!)

「ちっ!!アイスボム!」


アイは左手の義手から銀色の球体を吐き出し、急いで右に…校庭の方に避ける。

銀色の球体が弾け、大きな氷の壁を作り出すが、それをサイモンの巨大な拳がいとも簡単に破壊しアイのすぐ近くをサイモンの拳が走っていく。



アイ「俺の氷の壁を壊しやがった!

 なんて馬鹿力だ!!」

サイモン(かわしたな)「収縮(コントラクション)!」


サイモンの膨れ上がった右腕が膨れ上がるのと同じように縮んでいく。それを見たアイは思わず呟いた。


アイ「…あれが、サイモン先生の能力…。」

サイモン「ええ。

  私の能力は、『身体の一部または全体を巨大化させる能力』。

 シンプル・イズ・パーフェクト(単純だからこそ完璧)

今までこの力で潰せぬ敵はいません」

アイ「昔、兵士時代に聞いた『最強の兵士、シンプル・サイモン』は伊達じゃないな。

 いきなりあんな巨大化されたら小細工も小銃も意味が無くなる」


アイは額に嫌な汗が流れるのを感じた。


アイ「どんな装甲も兵器も、一撃で潰される」

現古「あ、あわわわわわわ…。サイモン先生、恐ろしい力を持っておるのう…」


立ちすくむ現古先生が呟く。サイモンはアイを睨み付ける。


サイモン「さあ、白状しろ、アイ!!」

アイ「?」

サイモン「貴様がゴブリンズの首領だというのは既に知っている!貴様の仲間のいる場所を教えて貰おうか!」


アイは眉をひそめる。何故今、仲間の話を?


アイ(まさか、魔法が使えるダンクの事を知っているのか?それでこの異常事態が俺の仕業だ、と。

 とんだ誤解だ!)


アイは誤解を解こうとサイモンに話しかける。


アイ「ま、待て、俺は違」

サイモン「いいや、貴様達がやったのだ!この、人の皮を被った化物め!」

アイ(うわ、ご乱心でいらっしゃる!)


サイモンの怒りはふつふつと上昇し、アイはだらだらと冷や汗を垂らす。


アイ(とにかく話が出来る状態にしないと!そのためには…これしかないか。

 悪の組織の首領としては、めちゃくちゃやりたくない手段だが)「いいか、サイモン先生!これを見ろ」

サイモン「!?」


サイモンの動きが止まる。何故なら、いつの間にかアイが凍りついた半魚人の後ろに隠れているからだ。


アイ「これはお前の生徒だ!お前が余計な事するとこいつを」サイモン「膨張(パンプアップ)!」


サイモンが人差し指でアイを指差す。

すると人差し指がぶくぶくと膨れ上がって長くなり、まるで槍のようになる。


アイ「え」サイモン「槍(ランス)!」


槍のような指が勢い良く伸びる。それは半魚人の影からでているアイの左肩に激突した!


アイ「ぐわ!」

サイモン「貴様が何かする前に俺が潰してやる

 ふん!」


サイモンは人差し指の先をちょいと右に動かす。

それだけで大の大人が吹き飛び、地面に転がり込む。

アイは仰向けに倒れ、肩を押さえた。


アイ「いつつ…まずい、左手の義手が今ので壊れた」

サイモン「まだまだいくぞ!膨張(パンプアップ)!」


サイモンは右足を巨大化させ、体を十メートル程まで持ち上げ、すぐに右足を収縮させる。

それと同時に両手の拳を組み、大きく振り上げてから両腕を巨大化させた。


サイモン「膨張(パンプアップ)!破壊(クラッシュ)」


そして、三メートルにまで巨大化させた両腕を、倒れたアイ目掛けて勢い良く振り下ろした。


アイ「ま…」


て、と懇願するより早く、アイは拳の一撃を喰らう。


ズドォオン!


まるで、岩が崖から落ちたような音と地響きが、校庭を支配する。

サイモンが両腕を収縮させると、校庭の地面は円形にひびが入り、その中心地点でアイが転がっていた。額や足から出血しており、校庭が少しずつ赤く滲んでいく。


アイ「……………ガハッ!ゲホ、ゲホ」


それを見たサイモンは怒りそのままに叫んだ。


サイモン「アァイ!思い知ったか!?

 俺達教師の怒りを、苦しみを!

 よくも…よくも、生徒をあんな姿にしてくれたな、ゴブリン風情が!」

アイ「…て、てめぇ………よくも………」


アイはふらふらと立ち上がる。左手の義手がバチバチと音を立てて、紫電を発する。

もう左手の義手は使う事は出来ないだろう。しかし、アイの瞳には今までにない恐ろしい輝きが見えていた。


アイ「………。

 誤解を解こうかとおもったけど、止めた。貴様を叩き潰してやる。

 ゴブリンズリーダーとしてなぁ!」

サイモン「それはこっちのセリフだ!

 あの生徒達を元に戻す方法、貴様を叩き潰してから教えて貰う!」

 




午後2時45分。

 縷々家学校・校庭…正面玄関近く。


現古「くそ、あのバカ共喧嘩を始めおった!

 今はそれよりこの状況をどうにかせんといけないのに、これじゃから若い者は…!」


正面玄関の近くで、魚人に姿を変えた現古分々斎は慌てふためきながら二人の戦いを見守っていた。本当は両手を広げて戦いを止めたいが、今の自分では一撃で瀕死の重傷を負ってしまうだろう。

 焦りを隠すようにイライラを見上げる。空は相変わらず黒く染まり、太陽の有るところには漆黒の龍が居座っている。


現古「あそこにいる龍だって、何もしない訳じゃないんだぞ…!」


現古はギリギリと歯を食いしばって見つめる。

しかし、ふと違和感に気付く。


現古「ん?

 何でワシはアレが何をするか分かるんじゃ? ん?何じゃ?何かが頭の中に入り込んで…?」





同時刻 校庭・中心地


校庭の中心地にある凍りついた魚人達の群から少し離れた場所で、アイとサイモンは対峙していた。

サイモンは『身体の一部または全体を巨大化させる能力』を持ち、古傷だらけの両腕を露わにしている。しかし今回の戦いによるダメージは殆ど無く、まだまだ強力な力を発揮できそうだ。

対してアイは左腕の義腕を故障され、ご自慢のアイスボムは使えなくなっている。

しかしアイはサイモンに対してこう宣言した。


『潰してやる』と。


戦いの状況は、圧倒的にサイモンが有利であるのにも関わらず、アイはそう宣言したのだ。

サイモンはアイを睨みつけたまま、意識を内側に向け思考する。


サイモン(奴め、何か能力を使う気か…

 しかし、俺は『最強の能力者』と呼ばれた存在。生半可な力では勝てない!)

 「大人しく、仲間の場所を吐け!」

アイ「誰が言うかよ、バーカ!」

サイモン「『膨張(パンプアップ)』!!」


サイモンの右腕が急激に巨大化し、それはまるで肌色の電車だ。前回、この拳の一撃でアイの主力攻撃が通用しない事が証明された。


サイモン「ならば今度こそ、力づくで吐かせて貰うぞ!」


その電車が、再度アイを狙って発車された!

ごおおう、と風を切り裂いて肌色の電車がアイに向かう。

しかし、アイは全く動揺を見せず、逆にニヤリと気味悪い笑みを浮かべると、こう呟いた。


アイ「不成者格闘術(ナラズモノ・コマンド)

 影鬼の歩(カゲオニ・ウォーク)」


その言葉を言い終えるが早いか、巨大化した右腕がアイに衝突した。

 アイは抵抗出来ずに肌色の電車に巻きこまれて吹き飛び、学校の壁に激突して全身の骨が砕ける音を聞きながら倒れ込む…

筈だった。


拳がアイに触れる寸前に姿が消えてしまったので、それは叶わなかった。


サイモン「!?」


バゴォン!!


拳が校舎の壁に当たり、ぶち壊す。

その際に発生した砂煙のせいでアイが何処へ行ったのか分からない。


サイモン「ち、収縮(コントラクション)!」


サイモンは巨大化させた拳を収縮させ、急いで元に戻す。そして辺りを窺おうと左右に目を向けようとして…

鈍く、強力な衝撃が頭を襲った。


サイモン「が…!!?」


ドッ、という音が響く。

それは自分が鈍器で殴られた音か、もしくはそれによって頭蓋骨にヒビが入った音なのかは分からない。

 サイモンの体から力が抜けていき、意識も闇の中に沈んでいく。瞳からは輝きが消えていき、耳に入る音はどんどん静かになっていく。

サイモンには何が起きたのか理解出来ない。

体も前のめりになって、

何がおきたか分からないまま倒れそうになって、


半魚人に姿を変えた生徒の姿が見えた。


サイモン(あ…?)


そしてその姿を見てサイモンは思い出す。

かつて同じように、何が何だか分からないまま倒れてしまった事を。

 そしてその後目を覚ました時には、彼の守りたい場所が全て消えてしまっていた事を。


サイモン(た………………………………。

    お……………………………。

   れ………………………。

  て…………………。

 た……………。

ま………!

る…………………………………か!!!)


サイモンの瞳に、輝きが取り戻されていく。

 無くなった筈の力が、体の中から湧き上がっていく。

 耳に聞こえる音はだんだんはっきり聞こえだし、両足に思いっきり力を込めて倒れそうな体を支える。


サイモン「た、お、れ、て、たま、るか…。」


後頭部にまだズキズキと痛みが残っている。

しかし、もうこの痛みで彼の体が倒れる事はない。

 今、サイモンはしっかりと立ち上がる!


だがしかし、


サイモン「あい、つらは、おれがま、もるんだ

 だから、倒れる訳には、いかな」


い、と言い切る前に

腹に先程より強力な衝撃を喰らい、

彼の思考は完全に停止した。







アイ「……ふぅーっ!

 終わったな。」


前のめりに倒れたサイモンが完全に気絶したのを確認したアイは、地面の上にへなへなと座り込む。


アイ「思ったより呆気なかったな。

 おかげで早く終わって助かった。」


アイは一人で苦笑し、ちらりと倒れたサイモンを見る。


アイ「まあ、金属で出来た腕で殴れば普通はこうなるか。奴の勘違いを止める為とは言え、酷い事をした。」


せめて手当てぐらいはしてやるか、とアイはサイモンの体を仰向けに寝かせる。

 そしてポケットから包帯やガーゼや消毒液を取り出す。


アイ「これでもススから応急手当てのやり方を学んでいるから、腕は確かさ。さて、治療治療〜っと。」


そう言いながらサイモンの頭の傷の深さを確認したり、ガーゼに消毒液を浸して治療の準備を続ける。


アイ(しかし、何故こいつは手を抜いて戦っていたんだ?

 巨大化出来る能力なのだから、始めから腕だけ巨大化とか脚だけ巨大化とかせずに、全身を思いっ切り巨大化させてしまえば、

 俺みたいな奴を一撃で倒せたのに。

…一体なんで、それをしなかったんだ?)

「…ん?」


アイがふとサイモンの上半身…Yシャツを見ると、胸の中心点が赤く光っている。


アイ「なんだこりゃ?」


アイは何の遠慮もなく正体を確かめるためにYシャツのボタンを外していく。

同性だから問題ない。

もう一度言うが、同性なので問題ない!


アイ「気絶してるし、何の問題もないな。」


Yシャツのボタンが全て外れ、胸元が露わになる

するとそこには、赤い光の正体があった。

そしてそれを見たアイは目を細める。


アイ「!

 …これが、体を巨大化させなかった理由か。

 これじゃ巨大化出来ない。

むしろ、よくこんなモノ付けた状態でここまで戦えたものだな…」


アイは立ち上がり、サイモンの姿を見る。

気絶したサイモンは目を覚まさず、目を閉じて静かに横たわっている。


アイ「さっきの仕返しに額に肉でも書こうかと考えていたが、寝かせといた方がいいな、こいつは。」


アイはYシャツのボタンを元に戻し、治療に専念する。


やがて治療を終えた時、アイは一息ついてふと横を見ると半魚人が立っていた。


アイ「うお、化物!」

半魚人「儂は現古文々斎、国語教師じゃ!!

 いい加減覚えろ小悪党!!」


アイは現古文々斎にゴツンとゲンコツで頭を殴られた。

アイの目から星が幾つか飛び出し、頭の上をくるくると回る。


アイ「はらほらひれはれ…」

現古「弱いのー。

 サイモン先生はこんな奴にやられたのか?」

アイ「せ、先生が強すぎるんだよ…」


アイは頭をぶんぶんと振り回して星を遠くに飛ばす。さっきの一撃は、頭に雷が落ちたのかと錯覚しかけた程だ。

しかし文々斎は全く気にせず、話しを続ける。


現古「まぁいいわい。

 それより小悪党、早く校舎に逃げるぞ。」

アイ「逃げる?」

現古「うむ、そろそろ三時になるじゃろ、そしたらあの月が…」


『テステス、本日は良き月なり、本日は良き月なり』


不意に、校庭中に大きな女性の声がマイクを通して響いていく。


アイ「うわ!」

現古「な、何じゃ!?誰が、誰が放送してるんじゃ!?」


『アイ、サイモン、現古文々斎に告ぐ!

 今すぐ投降し、私の下僕になりなさい!』


現古「げ、下僕じゃと!?」

アイ「この上から目線の声、ついさっき聞いた事があるぞ…」


アイはワナワナと肩を震わせながら、校舎を睨み付ける。


アイ「果心林檎!!

 貴様、何馬鹿な事をしている!!」

果心『久しぶりねアイ!!

 覚えてくれて嬉しいわぁ!!』




一難去ってまた一難。

サイモンを倒し、ようやく一息つけると思ったその瞬間、

全ての元凶、果心林檎が放送室のマイクを使って三人に話し掛けてきた。

彼女の真意は何なのか、サイモンの胸元の秘密は何なのか、現古の言った、『逃げなきゃいけない事』はなんなのか。


現在の時間は午後2時55分。


残り五分の間に、明らかになる事なのだ。

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