半年後×進展

 そんな彼と初めて話すことになったのは彼と出会ってから約半年後でした。


 よく休み時間に廊下で彼を見かけるのできっと一年生なのだろうと思っていましたが、そんな予想通り一年生だったうえに隣のクラスでした。私が彼のクラスを知らずに過ごしていた理由はただ単純に名前を知らず、調べ方を知らなかっただけで、例えクラスを偶然知ったとしても臆病な私にはどうすることもできず彼を目で追う日々を続けていたでしょう。


 廊下ですれ違うたびに彼の視界に入っていないのは自覚していても、高鳴る鼓動を抑えることができませんでした。彼の姿を確認するためだけに、自分の教室の前で意味もなく佇むことさえありました。私は純粋に彼に恋をしていました。


 学園祭の準備をしていた私に彼は声をかけてきました。きっと誰でもよかったのでしょう。映画部である彼が、文芸部に用があり、たまたま文芸部の前で部室の装飾をしていた私に話しかけるのに不思議はありません。



 しかし、半年越しの偶然でさえ運命だと感じでしまうほど、私は彼に惚れこんでいました。


 結局私は受け答えもお座なりに、顔を真っ赤にしていたのでしょうね。いえ、その場を偶然見ていた部長にフォローされ、その後からかわれてしまったことを正直につけたしておきます。

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