第33話 乱闘
修行場は、かなりの広さだった。
ほとんどが、剣を持ったやつらだったが、中には槍を構えている者もいた。
「零度、ミツキを頼んだ」
「わかりました、イオリ様」
「ミツキ、防御の結界張れるよな」
「わかってるよ、イオリ、私は大丈夫だよ」
ひとまず、これで自由に立ち回れるだろう。
おそらく門下生達は、イナスケと同じような立場だろう、だったら命を奪う必要は無い。
零度の攻撃なら相手は、命を落とす確率が高い、ここは俺が、戦った方がいいだろう。
俺は、長剣の刃先を裏返した。
門下生は、およそ50人ほどだろうか、ある程度、統制された攻撃を仕掛けてくる。
3人が1組になり一旦攻撃を仕掛け、かわされた所を後方から槍で追撃するパターンのようだ。同時に飛びかかってしまうと味方を傷付けてしまう恐れがあるからだろう。
要するに俺は、4人ずつを相手にすればいいことになる。剣を振るう3人のうちまず右か左の敵を倒し追ってきた残り2人を横一文字に払う、最後の槍は一旦受け流してから相手の懐に飛び込み腕ごと打ち払った。
動ける門下生が半分以下になると武器を持った奴らは攻撃をためらうようになってきた。
「怪我をしたくないものは、武器を捨ててくれ、今からは、手加減出来ないからな」
俺は、無駄な争いを出来るだけ避けたかったのだ。
峰打ちとはいえ骨くらいは、折れている奴もいるだろう。
カラン、カン
残りの門下生は、武器を捨てて戦意のない事を示した。
「ミツキ、零度、そっちは、大丈夫か」
「大丈夫だよ、そもそも攻撃されてないよ」
どうやら、美人は、得らしい。
「あんたは、降参しないのかい、氷堂さん」
「こう見えても、結構腕が立つんですよ」
氷堂は、剣を2本抜いて構えた。
双刀の使い手とは、少しは、手こずりそうな予感はするが、大抵は見かけ倒しが多いのも事実だ。
剣を片手で振り回すのは、かなり手首に負担が、かかるものなのだ。
どうやら氷堂の剣は、かなり特殊で刃渡り本体に軽量化の為の穴が空いていた。
ユリネが、剣を薄くして軽量化をはかっているのとはまた別のやり方だ。
氷堂は、俺の剣先をチラリと見ると一気に踏み込んできた。
左手の剣で切りつけると同時に右手の剣は胴体を狙って振り込んできた。
俺は、左の剣を受け止めた長剣をわずかにずらし柄の部分で右の剣を受け止めた。
氷堂は、一度間合いを外すために距離を取った。
「よくぞ私の剣を止められましたね、あなたが、かなりの使い手だとわかりました」
「氷堂さん、あんたは、それほどでもないようだな」
俺の言葉に氷堂の顔色が変わった。
おそらく次で仕掛けて来るだろうと思う。
「きさま、今の言葉後悔するなよ」
やれやれ、随分と下品な喋り方になったようだな。
だか、それでいい、それでこそ悪者だよな
「氷堂、次で決めようぜ」
俺は、天を貫くように高く剣を構えた……
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