第4話911ターボSエクスクルーシブ
なんか揺れてる…
…『……ゅ、…きて。…真由。』
何か呼ばれてる。
玲子『真由。起きて。』
真由『ん…おはよ。どうしたの?こんな朝早く。』
玲子『黒澤の寝起き襲いに行こう♪』
ニカッと微笑みながら黒澤の部屋のカードキーを自慢気に取り出した。
真由『にひひひ。お主もワルよのぉ。』
玲子『いえいえ。お代官様には私なんか足元にも♪』
二人で抜き足差し足黒澤の部屋へと向かった。玲子はカードキーを差し込み静かにドアを開ける。真由の背を軽く押し顎を進行方向へクイッと合図。その合図で真由も音を立てないように忍び込む。
玲子は真由が中に入ったのを見届け。
玲子『頑張って。真由。』
真由にだけ聞こえる程度の小声で伝え、自分は入らずドアを閉めた。
真由『えっ!?ちょっと玲子ぉ…』
ドアの下の隙間からカードキーが中に滑り入れられた。
玲子の気遣いに戸惑いながらも感謝する。カードキーを拾いテーブルに置く。
黒澤は眠っていた。
起きるのを待とうと、ただ寝顔を見つめていた。
しかし顔より下の方に視線を惹き付ける膨らみがある。
真由『この歳でもこの生理現象ってあるのね。若い人だけかと思った。』
小さな声で独り言。
黒澤は起きる気配が無い。
本来の目的通りにイタズラ心が真由を擽りだした。
足の方にまわり、乱れてる掛け布団をそーっとめくる。
黒澤は裸で寝ていたので、すぐに目の前にそのままの姿が露に。
真由にはそれがとてもいとおしく思えてそっと手を伸ばした。熱い。硬い。ほとんど無意識に頬擦りしていた。
舌を伸ばし鈴口をペロッ。ビクッと反応したが起きる気配はまだない。
真由『寝てても気持ちいいのかな?…』
真由は少し状態を起こし黒澤の顔を覗きこむ。
真由『ふふふ…可愛っ♪』
四つん這いになって先程までテントの支柱だった物を口に含んだ。時折ビクッビクッと反応示すが、黒澤はまだ寝てる。それなのに塩分と僅かな苦味を含んだ物が出て来てる。それに気付いた時には自然と自分の下着の中に手が伸びていた。
【私もすごい濡れてる。私ってこんなにエッチだったんだ?】
そのままフェラを続けながら下着を脱ぎ、なるべくベッドを揺らさないように気を使いながら跨がった。静かに腰を沈める。
真由『あっ…』
黒澤『…ん…』
黒澤が起きそうだ。それを見て何となく急に恥ずかしくなって、つい手に持ってた下着で黒澤を目隠しした。
しかし小さな布では目隠しの効力は薄く隙間から真由が丸見えだ。
黒澤『真由さん。おはよ。』
真由『おはようございます。』
黒澤『ナニしてるの?』
真由『起こしに来たら起きてたので、つい出来心で。』
黒澤『…これは昨日の約束のプレゼントとして貰っておくよ。』
目隠ししようと顔に乗せた下着を、クルっと手首に巻いた。
真由『いいですけど、ここから自分の部屋にノーパンで帰らないとなくなります。』
黒澤『私のシャツ1枚羽織れば中身は着けなくても見えませんよ。』
真由『えー!?』
黒澤『ところでこのまま?動かないの?それとも私が動いても?(笑)』
真由『黒澤さんはじっとしてて。昨夜の玲子にだけ依怙贔屓した件のお仕置きですから。』
黒澤『知ってたのね?』
真由『昨夜のうちに玲子が全て話してくれました。腕の傷の件も。』
黒澤『そっか…。彼女なりに真由さんに心配かけまいとした事だから解ってあげて。』
真由『勿論です。それよりも、黒澤さん…ホントにありがとう。偶然居合わせただけの私達にここまで。感謝してもしきれない…。』
黒澤『ちょっと待った!この体勢で湿っぽくなったらダメよ♪下から突いちゃうよぉ♪』
クイッと腰を浮かす。
真由『やっ…動くのは私。お仕置きなんだから。』
黒澤『感謝のお仕置きプレイ?私にはMの要素は皆無よ(笑)』
真由『もぉ~…いいから、私にさせて。』
黒澤『解ったよ。』
と言いながらシャツの下から両手を入れて乳房を揉む。
それを合図に真由の腰は前後や上下に振られ始めた。
胸に触れてるだけではなく、視覚での満足も欲しくなり、体を起こしてシャツを脱がす。揉む度に形を変える乳房と中心付近にある淡いピンクの突起に目を奪われてる。動き続ける真由の揺れる乳房に吸い付く。乳首に舌を伸ばす。吸い付いたまま舌を小刻みに震わす。お互い興奮はマックスに近付く。乳房から手を離し大好物のお尻へ移行する。もっと奥に尖端を擦り付けようと鷲掴みにした尻肉を引き寄せる。乳房から手を離すと乳首は口から少し遠ざかる。この体勢では背中が厳しい。乳首を唇の拘束から解き放すが、二人とも絶頂を迎える寸前。
真由の声にならない悲鳴。声を押し殺す為か肩に噛み付いてきた。Mでは無いはずだが、なぜか心地好く、私も鎖骨の下に吸い付いた。
真由『…!ん…ぁ…!』
黒澤『くっ!!』
果てた。
荒い息を整える間、二人は強く抱き締め合った。私は相変わらず片手はお尻に置いたまま。
黒澤『汗を流して玲子さん起こしに行こう?』
真由『玲子はさっき入り口まで一緒に来たから起きてる…。シャワーじゃなくて私が綺麗にしてあげる。』
抜き取った陰茎は朝日で光っている。その光の素を制止する間もなく舐めとり始めた。
【昨夜あんだけ出したのに、まだこんなに出るとは。しかも2回目…勃つ?】
…愚息と言って悪かった。お前は偉い!
真由『昨夜玲子としたのに、ちゃんとまた硬くなった。』
【思考を読めるんすか!?サイコメトラーなんすか!?】
黒澤『真由さんとなら何度でも♪』
真由『そんな営業トークに乗る程ウブじゃないつもりよ(笑)』
黒澤『実際そんな風にいとおしそうに扱われたら、どんなご子息様でもやる気元気いわきっすよ♪』
真由『井脇ノブ子さん…。マニアックすぎるから(笑)ホントそういうとこも玲子そっくりで、ホントに血縁関係無いの?』
親子ってのは基本的に無理がある年齢差。この年齢差だと兄弟ってのも親父にしろお袋にしても無理がある。
そんな事を考えてしまってた。
真由『返事が遅い!』
黒澤『イテッ!歯を立てないように。』
真由『中高生の頃の彼女との想い出にふけってた黒澤さんが悪い。』
黒澤『違うし。コノォ!』
真由の口からぺニスを奪い取り背後に回って両手で尻を掴む。
ガチガチに硬くなってるので手で添える必要もなくターゲットに的確に侵入を果たす。
真由『やん♪』
ゆっくりと腰を最高級の肉に打ち付ける。
真由『そう…いえば…黒澤さん…はお尻が…ホントに…好きなの…ね。わ…私の…アナル…にも…挿れたいの?…はぁ……はぁぁ』
黒澤『許されるなら当然。でも経験あるの?』
真由『無い…でも…いつか…黒澤さ…んに、初めて…を…あげる!だから…死んだら…ダメよ…勿論…私達も…絶対…負けない!』
黒澤『知り合ったばかりで、まだ二人の事は知らない事の方が多い。もっともっと知りたいって思ってる。だから絶対に俺も死なないよ。あっ…私も。』
真由『何で…言い直し…たの?クッ…ダメ…もうキテる!』
黒澤『いいよ。イッちゃって…。』
真由『でも!でもぉ!やっぱりダメぇ~!ィクぅ~!…』
黒澤『いつか来るであろう別れの為に、貴女達の心にちょっとだけ距離を保とうとしてる。だから俺では無く私と…。』聞こえないだろうと思える囁き。
真由『…ずっと一緒に居ればいいのに。自慢じゃないけど、私にはお金はあるのよ。玲子だけは関係続けても構わないし、二人に子ども出来ても玲子との子なら私にとっても自分の子と変わらないゎ。』
黒澤『話が飛躍し過ぎ。きっと二人にはもっと若くて元気で、私よりも毛がフサフサのちょっぴりほんの僅かにいい男のイケメンが現れるさ。私よりイケメンはなかなか探すの大変そうだけどね♪』
真由『その気になったら腕の良い探偵に探して貰うゎ。ね?探偵さん♪』
黒澤『やっぱり口では敵う気がしないから、こっちで戦う!』
動きを再開する。
真由『イッたばかりだからぁ!イヤぁ~!』
本気の拒絶とも取れなくも無いが無視して激しく突く。出し入れする時に腰と肉がぶつかり合う甘美な音が鳴り響く。
真由『やぁ…はぁ…はぁぁ…!ホントにダメまたすぐにイッちゃう~!』
黒澤『ごめんなさい言うまで止めない!』
真由『…く…クゥ~!』
イッたようだが容赦無く打ち付け続ける。
真由『ホント…もぉ!ダメぇ!…無理ぃ…!』
黒澤『ごめんなさいは?…』
私も限界がすぐそこまで来てるが強がる。
真由『ごめんなさい~~~~!』
最後の一突きで真由は俯せに崩れ落ちた。離れまいと腰を前に押し付けて覆い被さる。そのまま中に欲望を撒き散らした。
真由『はぁ…はぁ…好き…。』
黒澤『…愛してる…。』
真由『ホントに?』
黒澤『何か言った?』
真由『聞こえた。』
黒澤『ピロートークに法的な拘束力は無い。残念ながら(笑)』
真由『やっぱりこいつサイテー(笑)』
黒澤『玲子さんみたいに口が悪くなったね。お友達はちゃんと考えて付き合わないと(笑)』
真由『(笑)…ちょっと腰抜けてるから、先にシャワーして来ていいですよ。』
黒澤『んじゃ風呂に入るよ。部屋に掛け長しの温泉っていいよねぇ。いつでも入れる♪』
真由に背中を向けてバスルームのドアを開ける。湯に浸かりながらテラス側の硝子戸を開け放ち、外気を浴びながら入浴。
【すごく幸せだ。たぶん俺の寿命は僅かだな。じゃなきゃこんなご褒美貰えるような善人じゃないもの。】
ボーッと浴槽の縁に顎を乗せて外を眺めてると真由がバスルームに入ってきた。
シャワーを浴びてると突然騒ぎ出す。
真由『黒澤さん!肩から血が出てる!どうしたんですか?』
黒澤『へっ?ホントだ。どうりで外気がヒリヒリすると思った(笑)』
真由『どこかにぶつけました?』
黒澤『もっと近くで見てご覧。』
真由『…歯形?…あ!ごめんなさい!!』
黒澤『大丈夫。気にしないで。仕返ししてるから。鏡見て。』
真由『あ…キスマーク…。』
胸元にある印に優しく手を添え、心なしか頬が紅くなったように見えた。
真由『仕返しなら倍返しじゃないと。等価交換ですらまだ足りない!』
黒澤『ならこっちにおいで。』
反対側にもバランス良く印を着ける。
黒澤『これでい?』
真由『全然足りないけど高金利のクレジット組んで貰う。』
黒澤『ヤクザだ。玲子さんよりヤクザの素質ある(笑)』
真由『そうだ。玲子迎えに行って朝ご飯♪』
洗い流して真由を浴槽に招き入れる。膝の間に座らせ後ろから抱き締める。
黒澤『ホントこんな日がまた来るといいね。』
真由『来るとじゃなくて、私が続かせてみせるから。』
黒澤『実は1番逞しいのはわたしでも玲子さんでもなく、間違いなく真由さんだね(笑)』
真由『あら。今頃気付いたの?(笑)』
微かに廊下を走る足音がする。
慌てて浴槽から飛び出し真由さんにバスタオルを放り、自分はバスローブの袖に手を通し、脱いだ衣類の下からグロックを取り出す。セーフティを外しスライドさせチャンバーに装填。強目のノックが二回。
玲子『黒澤!アタシ!』
足音が一人分だったので安心して中に招き入れた。見ると自分の荷物だけではなく、真由の荷物も抱えていた。
玲子『下見て。』
テラスから下を覗きこむと駐車場に1台の車が増えて居た。その前に二人の男が立ち一人は電話。一人は周辺の車をチェックしている。
黒澤『よく気付いたね。』
話しながら急いで着替える。
玲子『バイオレンスな映画好きなのよ♪退屈だったから外眺めてたの。そしたらトランクにアンテナついてて、バックミラー二枚ぶら下がってるの見えたから、直感で荷物持って降りて来たの。』
黒澤『それにいかにもなシルバーのクラウン。』
玲子『解りやすいよね(笑)』
真由『なに?』
着替えを終えた真由が話しに参加する。
玲子『お巡りさん♪』
黒澤『たぶん菅野の息のかかったお巡りさん。』
私も急いで着替えて荷物をまとめた。
とりあえず簡単に自分の触った場所は拭き取っておく。DNAデータは取り放題だが、とっくに身元割れてると思うけど、指紋位は念のため残さないでおこう。
黒澤『それじゃぁ行こうか。』
真由『えぇ。』
玲子『はいよぉ♪』
黒澤『現状から推測すると、確信があって来た訳じゃなさそうだから、周辺の聞き込みしつつ痕跡追って来たんでしょう?だから真由さん達は普通に支払い済ませて正面から出よう。その間に彼等の車に爆弾仕掛けてくる。』
玲子『あら過激(笑)』
冗談だと思ってる。
私は弱者なので、権力笠に来て横暴するクズは死んでもいいと思える程大嫌い。
だから少々自分ルールが甘くなる。
…少々?激甘ですね。
真由達はエレベーターで下に向かう。私は非常階段を下りながら、昨夜作った竹の筒を一本取り出した。結束バンドも念のため用意しておく。
外に飛び出し追手の様子を伺う。一人は相変わらず駐車場を捜索してるが、GT-Rとは反対の方に居る。もう一人の姿が見えない。…!電話しながらロビーへ向かってる。
私は身をかがめ覆面パトカーに近付くエンジンはかかったまだ。運転席を開け電動シートの設定をやや前方にメモリーの変更する。エンジンを停止しする。シートが最後方に移動した。後部ドアを開け、シートの下に竹の筒を差し込んだ。運転席シートの下のフレームにテグスを張った状態で縛って止めておく。
ドアを閉め。GT-Rに向かい音を立てないように乗り込み身を潜める。
電話をしていた男が電話を切りロビーに向かった。フロントに向かっている。隠れてやり過ごした真由達がこちらに向かって来た。GT-Rのエンジンをかける。当然排気音で外に居た男が気付く。真由達を迎えに走り出すと男が掛けよって来た。異変に気付いた建物内に居た男も急いで出て来てる。真由達の横に急停止しドアを開ける。助手席に二人で飛び込んできた。ドアを閉め真由が玲子の左腕をかばってるのを確認した上でアクセルターン。スライドをアクセルで調整しつつ敷地の外に飛び出した。
しばらく走行して居るがなかなかバックミラーに写らない。どうやら仕掛けは機能したようだ。
どの程度の爆発の規模か試して無いので解らないが、まぁ死んだりする事は無いであろう。せいぜいシートが焦げてむせて咳き込んて苦しむ位かな。
あまり本気になられても困るし、適度にからかう程度にしとかないとね。
黒澤『とりあえず二人の顔は見られて無いと思うから、例の発信器のおかげで奴等の意識はまだ二手に別れてるはず。』
玲子『発信器はホテルの中に?』
黒澤『今頃フェリーで海の上かな?』
真由『いつの間に?』
黒澤『企業秘密♪さぁて、またしばらくドライブだけど、ただ逃げ回ってるってのも何だかねぇ。』
玲子『どうするの?』
真由『根本的なところを解決しない間はずっと隠れて無いといけなくなりますからね。』
黒澤『真由さんのお父さんに会わなきゃ無いね。その為には拉致される事無く生きて辿り着かなきゃ無い。で、まずは車の色を変えよう。』
玲子『乗り換えるの?』
黒澤『塗り替える。』
真由『何日もかかるんじゃ?』
黒澤『自分で簡単に出来る方法があるのよ。んじゃカー用品店行くよー♪』
山を下りて大きめなカー用品店を検索しそこに向かう。道中尾行の気配は一切無かった。
到着。
黒澤『私が買い物してる間に真由さんに頼みあるんなけど、そこのスタンドに洗車頼んで来て。ワックスは使わないでシャンプーだけの洗車って。』
玲子『私が運転する♪』
黒澤『強化クラッチだからギアいれ損ねると傷に響くよ。だから助手席でスタンドのお兄さん達に愛想振り撒いてなさい。真由さん運転大丈夫でしょ?』
真由『よ…余裕よ。』
黒澤『…まっ練習。危ないと感じたら助手席で玲子さんがサイドブレーキ引いて停めて。やっぱり運転出来るようになって貰えた方が、今後色々と作戦にマージン取れるから。』
と、二人を見送った。
走り出しはギクシャクしてたが、車線合流も以外とスムーズに走って行った。
黒澤『さ♪買い物♪』
元々中古車ブローカーもやってるので、仕入れた商品車には色んな小細工施さないとない場合がある。本職の整備士や鈑金屋さんに全て頼んでいては儲けが出ない。やれる事は自分でやる。その際有り難いのがこのカー用品店だ。
塗装に必要な商品が置いてあるシマに来た。手に取ったのはラバースプレー。塗装面にそのまま塗り重ね、飽きたらゴムフィルム状になった塗料を簡単に剥がせるって代物。
マスキングテープやフィルム等必要な物、他にも何かしら役に立ちそうなものを物色し会計済ませて外に出た。すでにGT-Rは洗車を終えて待機していた。
黒澤『お待たせ。』
一声かけてトランクに荷物を置く。
シートに腰かけて走り出す。
黒澤『塗装してる間はする事無くて退屈だろうから、二人で買い物でもしてくる?変装も変えなきゃだし、下着ももう少し買い足した方が良いでしょう?』
玲子『黒澤の頭の中はパンツの事ばかりだな。もっと欲しいのか?』
黒澤『お前のは回収されただろが!』
玲子『お前のは?…はぁ?真由?』
真由『忘れてた。今私履いて無かった(汗)』
黒澤『えっ🖤』
玲子『ちょっと黒澤車停めて。』
黒澤『なんで?』
玲子『片手しか使えないから、殴って事故起こした後で私の身の安全の確保が難しい。』
黒澤『安全保障会議とかの選択無く、いきなりミサイル撃つのな?』
玲子『戦争じゃなく粛正だから。』
黒澤『真由さん。やっぱりお友達は選ばないと。』
玲子『今すぐ停めろ!』
黒澤『ところで冗談は玲子さんの顔とおっぱいだけにして』ボカッ玲子の拳骨。
黒澤『塗り替えるのに6時間位かかりそうなんです。この辺りはまだ田舎なんでレンタルガレージは無いそうです。お店の人に倒産した塗装工場紹介して貰いました。そこだと何にも無くて退屈でしょうから、市街地で降ろします。』
玲子『色々思うところはあるけど、この思いは後で清算する事にして申し出を受け入れよう。』
真由『私は別に作業眺めてても退屈ではありませんけど。でも邪魔になってはいけませんので玲子の隔離という形で助力します。』
玲子『おい。おまい等…。』
黒澤『冗談だよ(笑)玲子さんにこれ預けとく。』
グロックを腰から抜き。手渡した。
黒澤『海外にはしょっちゅう行ってるだろうから、玲子さんなら使い方バッチリでしょう?』
玲子は手渡されたグロックのマガジンを抜き、スライドしてチャンバーに入ってた弾丸を抜いた。抜いた弾をマガジンに入れて元に戻した。セイフティーの作動もチェック。
黒澤『私より使いなれてるみたいね。』
玲子『オーストリアの拳銃よね。私も必要な場所では30を携帯してたから、この19の使い方はほとんど変わらないわ。少し大きさ違う位?』
黒澤『くれぐれも威嚇だけ。周りの確認怠らない。防犯カメラの位置も把握した上で取り出して。』
玲子『解ってるつもり。』
ハザードスイッチを押す。路上脇に寄せて停車する。
黒澤『真由さんを守るのは玲子さんの役目。』引き寄せて頬に唇を接触。
玲子『OK』
真由『いざとなったら私が二人を守るから♪』ウィンクしてみせる真由。
黒澤『その時は宜しく御指導御鞭撻の程を。』真由も引き寄せて頬にキス。
玲子『あーー!』
黒澤&真由『な…なに?』
玲子『真由の胸元にキスマーク!』
慌てて隠す真由。
黒澤『さぁ気を付けて行ってらっしゃぁい☆』
玲子『やっぱり後で色々と体に質問する!』
グロックをバッグに仕舞ってから降車。
二人とも振り替える事無く商業施設の雑踏
に紛れて行った。走り出す前に周りを警戒するが、ここでも尾行は無い。静かに発進して紹介された塗装工場の敷地に車を乗り入れた。すると老人が声をかけてきた。
老人『あんたかい?ここ使いたいってのは。』
黒澤『はい。すぐ済みますので。』
老人『使用料金に少しだしてくれたら手伝ってやるが。』
黒澤『助かります。宜しくお願いします。』
老人『礼儀ただしく気前のいい青年は好きだぞ。』
【この老人にしたら40過ぎも青年にみえるのか?お世辞のつもりか?解りにくいからスルーだな】
車を作業場に入れて、ボディの油分を取る作業をし、マスキング、そして塗装に入る。
老人『ほぉ~今はこんなのもあるのか。』
黒澤『飽きっぽい若者にはウケるんでしょうねぇ。いつでも元に戻せるから、車に服でも着せてる感覚なんでしょうか?』
二人がかりで作業すると一時間程で全て仕上がった。
黒澤『乾燥ですが四時間程度で大丈夫らしいです。』
老人『そうなのか。ただただ感心する。これじゃワシ等昔の塗装職人は商売上がったりだ。』
黒澤『でも熟練した技術は変えがたい国の財産だと私は思ってます。若い人達には素通りせずそれを知った上で更なる上を目指して欲しいと思います。』
老人『面白い奴だな。名前は何と言う?』
黒澤『申し遅れました。黒澤です。』
老人『ワシは南と言う。乾燥待つ間メシでも行くか?この辺りは何にも無いからワシの車に乗れ。』
有無を謂わさぬ雰囲気だったので素直に従った。
老人の後について行くと目の前に有った車は
黄金色に輝く911ターボSエクスクルーシブ。
黒澤『あのぉ~私の記憶が確かならこれってまだ日本では売ってないよぉな…。』
南『まぁ歳のせいで趣味の塗装屋閉めても、こればっかりは止められなくての。年寄りの道楽には過ぎるかも知れんが、段々とお迎え来るまでは年寄りが路上で邪魔になるのは我慢してくれ。』
黒澤『これを邪魔者扱い出来る人は皆無でしょう?(笑)』
南『まぁ乗れ♪それとも運転するか?あのGT-R乗れるならこいつも簡単じゃろ?』
黒澤『精神的に簡単では無いので助手席でじゅうぶんです。』
南『以外とへなちょこじゃのぉ?(笑)』
そう言って器用に運転席シートに滑り乗る。【見た目にそぐわぬ筋力あるな…】
南『お薦めの蕎麦屋があるがいいか?気取ったとこでは無いのだが。』
黒澤『蕎麦は大好物なんで是非♪』
南『そぉーか♪そぉーか♪んぢゃ、れっつらごぉー。』
暖気運転もそこそこにロケットスタート。さらに郊外へと向かい、山道と言って良いような道路を快調に走り抜け隠れ家的な蕎麦屋に到着した。
南『さぁここじゃ。』
促され降車。
店主に案内され席につく。
南『毎度ぉいつものお願い。』
黒澤『それでは私も同じものを。』
店主『少々お待ち下さい。』
店主が厨房に入ったところで話しかける。
黒澤『南さんはなぜ先程お手伝いして下さったのですか?』
南『実は黒澤君が乗ってた車はワシが作ったんじゃ。それを知ってたカー用品店のコが連絡くれての。どういう経緯で君の手元にあるのか詮索せんが、黒澤君の運転を見て、乗るべき人に乗って貰えてるの確信出来て嬉しくなってのぉ。』
黒澤『そうだったんですか。』
南『まぁ金と時間はあるんで良い暇潰しが無いか飢えてたって事もあるがの。』
黒澤『金あるならわたしから小遣い取らないで下さいよ(笑)』
南『あほぉ~。金を貰う方も払う方も責任の移動儀式じゃ。貰ったからには誉められる仕事する努力を怠らない。払う方もそれに見合う仕事か見極める。気に入らなければきちんと伝えて職人を育てる。そういうもんじゃ。』
黒澤『そうですね。ホントそう思います。それなら逆に支払いは足りないんじゃないですか?』
南『それならここの食事代払わせてあげよう♪』
黒澤『ありがとうございます(笑)』
店主『お待たせ致しました。』
持って来たのは蕎麦ではなく、板わさと穴子の一本揚げ。それに冷えた日本酒。
南『さっ乾杯♪』
私の分の盃にも注いでくれて乾杯。一気に流し込む。
黒澤『マジ美味いっす!』
南『そうじゃろ?ところで何か困ってるようじゃの?ワシの耳に入ってきた情報じゃと、田舎ヤクザの菅野が人探ししとるようじゃが。』
黒澤『…!』
慌てて外を警戒し意識を集中する。
南『安心せい。菅野とは交流無い。それどころかあんなガキ共に興味も無ければ関わりも持ちたくはない。だが裏で力添えしとる連中が気に入らん。知っとると思うが、税金で食っとるくせに市民の困る事に熱中しとるクズの派閥がある。それを根絶やしに出来るなら協力したいと思っとる。どうだ?』
黒澤『…。申し出を受けるには私一人では決められません。…本当にありがとうございます。相談した上で後程回答という形ではいけませんでしょうか?』
南『良かろう。どうせ暇をもてあましておる。二人のお嬢さんと相談するがいい。』
黒澤『そこまでご存知でしたか。…失礼とは思いますが、南さんに惚れました。是非御助力頂ければ助かります。』
南『相談してからの回答で構わんのだぞ。それとワシはそっちの気は無いからの。』
黒澤『ははは(笑)』
南『今夜からの宿も決まって無いのじゃろ?婆さんに先立たれて年寄り1人ではいささか広すぎる家じゃ。泊まってけ。ワシの他には使用人が二人程離れに住んでるが、気兼ねする事は無いから連れて来い。』
黒澤『ありがとうございます。何から何まで本当に感謝致します。』
立ち上がって深くお辞儀した。
南『座れ。蕎麦が来た。食おう。美味いぞ(笑)』
黒澤『はい。頂きます。』
南『支払いはお主じゃがの(笑)』
蕎麦湯までの行程を堪能し食事を終えた。店主に支払いをしようと話しかける。
店主『結構でございます(笑)』
黒澤『えっ?』
店主『お話ししてる際の音量が丸聞こえでしたので。当店は南さんのお気に入りさんからは受け取らない経営方針です(笑)』
南『良かったのぉ♪ここも年寄りの道楽が過ぎた店なのよ♪』
黒澤『そうなんですね。それでしたら今回は好意に甘えさせて頂きます。本当に美味しかったです。この次は綺麗所連れてたくさん食べて飲んでたくさん支払わせて下さい。』
深くお辞儀しつつ官舎の念を伝えた。
南『こんな小汚ない爺ぃでは無く綺麗所連れて来るとよ(笑)』
黒澤『☆そういう意味では!!』
南『冗談じゃよ。さぁ行くぞ。』
ポルシェの鍵を渡し助手席に座った。
南『ちょっと遠回りしても構わんから運転してみせろ。』
黒澤『承知しました。』
南『主従の関係じゃなくて友人関係なんだ。堅苦しい言い回しは止めろ。』
黒澤『すみません(笑)』
南『それでいい。踏め。』
黒澤『行きますよぉ~!』
アクセルに乗せた足に少し力を入れると予想だにしなかった加速を見せる。スピンするかと思いきや様々な電子制御の恩恵で難なく立て直す。600馬力で四駆。200CCの違いはあっても同じツインターボ。今乗ってるチューンドGT-Rとはスペック的にさほど変わりは無いが、メーカー開発の最新技術搭載のそれでは全くの別物。ホイルベースの違いもある。エンジンが載ってる場所も違う。が、それだけではない。加速が力強くそれでいて優しさもある。
南『PSMやPTMの設定も少し弄ってある。』
試してみる。
黒澤『オリジナルが解らないので比較は出来ませんが、綺麗にスライドキープしてくれますね。最高速仕様じゃなくて、ショートサーキットみたいなとこでは無敵じゃないっすか?』興奮気味に答える。
南『そう思うか。ならば帰ろう。』
道案内されガレージに戻った。
南『だいたい乾いてるようだが、完全に乾くまでもう少し時間あるな。リフトに上げろ。少し整備してやる。』
黒澤『自分で出来ますよ。』
南『いいから。事務所で座って珈琲でも飲んでろ。』
事務所に入ると手動のミルとサイフォンまである。
コリコリと音を立てミルを回しながらガラス越しに作業を覗く。
何やら部品庫から何点か運び出された。
その間に油脂類は全て抜かれて居る。
挽いた豆をサイフォンに入れ、フラスコにミネラルウォーターを入れる。アルコールランプに火を灯し沸かす。
リフトは下がってエンジンルームに上半身突っ込んで居る。
フラスコの湯が沸いた。
ロートを挿す。
静かに湯が上がって来た。
ヘラで素早くクルッと撹拌する。
30秒ちょい待つと泡と液体と珈琲豆の3層が綺麗に別れた。
ランプを外し火を消す。
もう一度ヘラでクルッと撹拌し、フラスコに落ちるのを待つ。
出来上がりは我ながら上々だ。コナとトラジャのブレンド?酸味が強いのは苦手だが、酸味を消すためにロースト強くすると胸焼けしてしまう。完璧に肉体の経年劣化のせいだ。が、この珈琲は本当に美味い。何と贅沢な時間だろう。リタイアしたらこのような生活を送りたいと願った。
南『思ったよりパーツの固着があって外しにくいとこあるから、先にお嬢さん方を迎えに行ってはどうじゃ?』
ポルシェの鍵を渡された。
黒澤『何から何まで本当にすみません。お借りします。』
南『天ぷらナンバーも積んどるようじゃが、ワシの手持ちのもくれてやるから使え。とりあえず変えておく。』
黒澤『ありがとうございます。それでは行ってきます。』
南『ゆっくりで構わんぞ。』ニヤリとして送り出してくれた。
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