第3話

今日は受験の日だ。

正直なところ寒いし、面倒くさいから行きたくない。

受験票も持った、お弁当も持った。忘れ物はないな。

確認も終え、車に乗る。

流石に英単語の確認くらいはしようと持ってきたノートを見直す。

ちなみに単語カードは好きじゃない。一々書くのが面倒だし捲るのも怠いから。

母はそんなのお構いなしに、制服どのくらいしたかなぁなどと言ってくる。

まだ、合格してないよと私は母に目を向けず言った。


ずっと下を向くのにも疲れて、酔いそうになる。そんな中、車中は温かくて、休みの間中ずっと寝ていた頭をぼうっとさせる。少し寝ると、言い残し目を瞑ると車の揺れと音楽が頭に響く。

そのまま着くまで目を瞑っていた。


高校に着くと沢山の人がいた。制服もよりどりみどりだ。集合場所を探しながら歩くと後ろから衝撃が来た。

「おはよう!」

「あーお前か。おはよ」

見れば友達の早紀だ。朝から元気だなぁと思っていると、ヤバイ、緊張する!と緊張の欠片も無いような声で言った。

「そっかぁ、私はもう受からなくてもいいかなぁ...」

「イヤイヤイヤ、絶対受かるでしょ!」

ぐだぐだと言い合いをしながら歩き、集合場所に着く。しかし、先生は何処だろう。周りを見渡しても、まだ着いていないのか私と早紀だけだ。他の生徒もまだ来ていない。

集合場所を間違えただろうか、と少し心配になる。

しばらく待っていると、見覚えのある姿が目に映る。

「あー!陽菜!」

こっちこっちと手を振る早紀を横目に、やっと来たかと言いつつ、自分達が集合場所を間違っていないことに内心ほっとした。

「早くない?二人とも」

「早くないよー?てか、皆まだなの?」

「まだ、みたいだね。先生も来てないし。」

「え!?そうなの!?岩ティーまだなの!」

「そーなの!」

暇潰しに話しているとまた、誰かがやって来る。

「おお!!やっと来た~!遅い!」

「私たち、ずっと待ってたんで?」

「晴樹遅い」

ごめんごめんと謝りながら、お前ら早くね?と晴樹が言う。まぁ、早かったかなと私が同意すると、だろ!?俺だけじゃないじゃん!と騒ぎ立てる。

そんな事をしながら待っていると残りの生徒と先生も来た。


点呼をとると、説明をされる。

挨拶はちゃんとしなさいだとか、体調が悪くなったら手を挙げなさいだとか、試験監督が言うだろう事を私たちに言う。

それからしばらくして、受験生は中に入ってくださいと、声が聞こえた。

じゃあ、先生行ってくるー!と、早紀の元気のいい声を筆頭に、頑張ってくる!だとか、岩ティーどうすんの?とか声が聞こえてくる。

そんなのお構いなしに私はさっさと中に入った。ずっと待っていて寒いのだから仕方ないだろう。

心の中で言い訳じみたこと呟いた。

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