第12話② 最も遠いようで最も近しい関係

「我は、すぐに鬼響丸ききょうまると名乗るようになった。それと同時に、この島の隅で隠れるように暮らしていた鬼たちを手懐け、島名の音を転じて“鬼ヶ島おにがしま”と改めたのだ。これが反乱軍の成り立ちよ」

 鬼響丸は、立ち尽くしている成仁の傍に寄ると、成仁の頬に手の平をあてがいました。

「まさか、ここまでよく似るとは思わなかった。そうは思わぬか」

楽しげに笑います。

「そなたの首を引っ提げて、都へ行くことも考えたがのう。やはりここで殺すのは惜しくなった。どうだ、成仁。我について、共に朝廷を倒さぬか」

「俺は……」

 兄への同情も手伝って、成仁は甘い言葉に誘われるように手を伸ばしました。鬼響丸は勝利を確信し、毒を持つ花がほころぶように笑みを浮かべます。と、その時。

「ダメですよ、誘いに乗っちゃっ!」

「貴方の境遇には確かに同情する余地があります。私たちには想像もできない苦しみを味わってきたのでしょう。でも、だからといって、人々を傷つける理由にはなりません!」

 桃桜はそっと成仁を後ろに押し退けました。成仁は簡単に動きます。

「雉男さ……いえ、東宮さま。申し訳ありませんが、兄君を捕らえさせていただきます」

「いや、俺にやらせてくれ。鬼が身内なら尚更だ。「貴方の境遇には確かに同情する余地があります。私たちには想像もできない苦しみを味わってきたのでしょう。でも、だからといって、人々を傷つける理由にはなりません!」

 桃桜はそっと成仁を後ろに押し退けました。成仁は簡単に動きます。

「雉男さ……いえ、東宮さま。申し訳ありませんが、兄君を捕らえさせていただきます」

「いや、俺にやらせてくれ。鬼が身内なら尚更だ。」


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