反転する決戦
「その命、ここで焼き尽くしてくれよう」
その言葉を聞き、勇者が魔王に鋭い眼光を向けた。
「随分待たせたな、勇者よ」
地獄より聞こえる呪詛のような声。
魔王はまるで、これまで繰り広げた闘いの末にこうなると知っていた様な態度だ。
背中に羽織るマントを翻し、その身を包む鎧が音を鳴らす。
魔王が何やら言葉を吐いたものの、それがはっきりと聞こえる前に焔が煌々と燃え盛った。
次の瞬間、彼の眼前に立つ強敵は業火に包まれる。
勇者の目は真っ直ぐと魔王を見定めており、炎を纏ってもそれは変わらない。
しかし、未だ立ち塞がる魔王を前にして、勇者はその手から剣を放してしまう。
「これが最後だ」
もはや勇者の瞳に光などない。
不敵な笑みを浮かべた魔王の心中は増悪に満ちていた。
相対する敵にその言葉を届ける気はないのだろう、暗く冷たい表情を浮かべている。
「貴様の力はその程度か」
吐き捨てるように呟いた。
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