愚者の末路

 誰も知らない森の湖。

湖には夜毎、神聖なる者が現れるという。

そしてその者はどんな願いでも叶えてくれるらしい。

 何の裏付けもない噂だが、これを信じて森を探す者がいた。

希望に満ち、探求心に溢れた青年だ。

名残り惜しくも故郷を旅立ち、色々な国に足を踏み入れた。

様々な人に会い、森や湖について尋ねた。

何年も、何十年も、青年は探し続けた。

 だが、どれだけ探してもあの森は見つけられない。

何故なら、森の湖なのだ。

この噂を聞いた時点で気づくべきなのだろう。

しかし、目先の欲に眩んだ愚か者には分からない。

これが噂話として成立してない、ただの虚言だと気づく事はないだろう。

気づくより先に、青年は墓の下に辿り着いたのだから。

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