犯人は誰

 ここはある国の城下街。

この街は騎士達によって安全が保障されています。


 しかし、数日前からこの城下街に恐ろしい殺人鬼が現れたのです。

現状での被害者は3人で、性別も年齢も職歴や人間関係にも共通点がありません。

いずれも夜中に路地裏で襲われている為、犯人は人が少ない時間を狙い犯行に及んでいると思われます。

 街の人々は夜間の外出を控えるようにしましたが、それでも被害は減らず――。

毎朝の様に布を掛けられた遺体が荷車で運ばれ、城下街は活気が失われていきました。


 このままではいけない、と城下を守護する騎士団が立ち上がり調査しました。

今日はそれぞれ調査した事を報告しあう会が開かれました。

凛々しい顔つきの騎士団長が部下達に告げました。

「それぞれ調査した事を順に聞かせてくれ、書記は全て記録せよ」

書記係が短く返事をし、最初の騎士から順に報告します。


「私が調査したのは最初の事件が発生した場所です。

 事件から数日が経過していた為、犯人が残した痕跡らしきものもなく、被害者の血痕も先日の雨で流され、新たな発見はありませんでした」


「私が調査したのは2番目の事件が発生した場所であります。

 この場所もまた雨の影響で物的証拠は残されていませんでしたが、近隣住人が”奇妙な音を聞いた”と報告がありました。

 それ以外に新たな報告はありません」


「私が調査したのは3番目の事件現場です。

 ここはあまり雨が降らなかったのか、被害者の血痕が点々と残っていました。

 しかし、犯人に関する物は何も残っていませんでした」


「私が調査したのは先日発生した事件現場であります。

 この現場は雨の影響を受けていなかった為、恐らく雨が降らない日に犯行が行われているかと思われます。以上です」


 全ての報告を聞き終わった騎士団長はある事に気づき、ある騎士を犯人として捕縛しました。

こうして城下街は再び平和を取り戻したのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る