踏切

ここはあなたとの思い出の場所。


一緒に歩いた通学路。




まるで幻を見ているような感覚だった。


私の横を素知らぬ顔で横切る黒猫。


驚いた私は思わず声を上げる。


あなたと一瞬目が合う。


私は目を逸らした。


夕日のせいで景色が赤く見える。


暫くの静寂。


カンカンカン、と頭に響く警報音。


走り去る電車。


そうしてあなたは踏切を渡る。


「バイバイ」


手を振って駆け出すあなたを止められなかった。


私はいつも遅いから。


ちゃんと言えるようにたくさん練習した。


また明日ね、バイバイって。


心の中でいつも思ってる。


少し寂しい気持ちを夕日が吸い込んでいく。



この思い出は忘れない。


ずっと、永遠に。

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