朝ご飯
閉じた
今日は恵まれた天候のようで、雲一つない空に昇る太陽はいつにも増して輝いて見える。
あぁ、もう朝か。
もう少しだけ寝ていたいと思う気持ちを胸中に収め、薄っすらと目を開ける。
朝、目覚めてからの微睡みは長く、重く纏わりつく。
外の快晴とは違って、心は未だに夢心地のままだ。
まだ眠気も覚めやらぬ中、寝惚け眼で服を着替えて寝室を出た。
洗面所で歯ブラシに歯磨き粉を塗りたくり、まだ寝ぼけ眼のまま歯を磨く。
今日は月の終わり頃。
あと数十時間後には月が変わり、夏も本番になるところだ。
夏は好きにはなれないが、その季節だけでしか味わえない楽しさがあり、嫌いにもなれない。
ただ、虫が多くなるのは苦手だ。
洗面所の鏡を見ると、いつも通りの自分がいて安心した。
朝起きて自分の顔を見ると、可笑しな事になっていた。と、言うフィクションの物語をよく目にするが、実際に自分の顔に起こったらどうなるのだろう。
もし、顔が醜くなっていたら。
元々そこまで好きでもない自分の顔が、今以上に目も当てられない様になるのは困る。
しかし、逆に美形になっていたら、自分の顔とは思えずに奇妙な気分になるだろう。
やはり、自分の顔はこのままが一番だと思える。
そんな夢物語の延長のような空想をしつつ、顔を洗っていると目が覚めてきた。
そろそろ朝食を食べよう、腹が空腹を訴える頃合いだ。
ダイニングに行くと、焼いたウインナーやベーコンや、温かいスープの香りでいっぱいだった。
盛り付けられた料理の鮮やかさが更に食欲を唆《そそ》る。
今日の朝食はウインナーとポテトサラダが添えられたベーコンエッグと野菜たっぷりのコンソメスープ、それにトーストとコーヒーもつくだろう。
「あら、おはよう。今日はいいお天気みたいよ」
朝食の支度をしていた彼女がこちらに気づき、優しく微笑みかける。
「おはよう。そうみたいだね」
彼女の方を見て返事をし、机に置いてある新聞を手に取った。
新聞には他愛もない記事や、気温がどうだとかが書かれていて、今日は特に興味を引くものは無かった。
読む必要を感じられないので、そのまま新聞を開かずにマガジンラックへ入れた。
新聞よりも朝食の方が幾倍も大事だ。
彼女が食事を準備してくれたのだ、新聞など読まずに食べたい。
「あなた、コーヒー淹れたわよ」
両手にマグカップを持ち寄り、椅子に座るよう
彼女からマグカップを受け取り、いつもの席に座った。
彼女と向かい合わせで食事が出来る特等席だ。
「それじゃあ……」
と彼女が言い、2人揃って手を合わせた。
「「いただきます」」
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