第3話 俺の夢
俺は2つの才能がある。
それは『声』と『文才』だ。この2つの才能が高く評価され、『芸術の春人』と呼ばれていた。そして俺の夢は…
『小説家』か『声優』
この2つの中でとても迷っている。他の夢もあるかもしれないが、個人的にはこの2つのどちらかを全力でやってみたいと感じていた。
そして現在、俺はクラスメートの友達と共に『夢』に1歩近づく為、日々奮闘中だ。
朝の騒がしい登校をした俺は、重い足取りで教室に入って行った。
「おはよ…」
生気が感じられない挨拶をしてしまった。
我ながらお疲れ様だ。
すると俺の椅子(勝手に使われていた)に座っている少年が返事をしてくれた。
「やぁ、春人か」
「どう…?挿絵(さしえ)描けた?」
「お前死にそうな声をしているぞ?!まぁそれは置いといてだな…挿絵は一応完成した」
「おぉ…毎度ありがとうな…」
「感謝されるのはいいが、君はもうちょい睡眠と姉妹との距離感を取った方がいいと思うぞ?」
「出来たら苦労してねぇよ…」
この男は坂本 龍馬(さかもと りゅうま)
彼は俺の制作しているライトノベル『sister love』の挿絵担当である。
中学からの友で、とても絵が上手い。
本人は坂本龍馬(歴史の方の)漢字が同じである。しかし読み方は違う。
「確かに、『小熊市の美少女姉妹』の家族となると大変か…」
「大変どころじゃねぇよ…毎朝が地獄」
「声と猫背の君の姿を見れば、異常に疲れている事は解るよ…」
坂本は俺の席から出ていった。
「相変わらずクオリティ高ぇな…」
そんな事を俺はブツブツと言っていた。すると横から
「あらあら、小説の挿絵?」
「そうだ。明日『小説家になろうぜ!』の応募締切だったから、急遽(きゅうきょ)描いてもらったんだ」
「へぇ~頑張ってね。それより春人君?」
「何?」
「明後日(あさって)、アフレコのイベントよね?」
…忘れてました。明後日はアフレコのイベントに参加するんだったなぁ~(涙)
小説描いてる場合じゃねぇ!
悲しい(疲労的な意味で)事実を知った俺の反応を楽しんでいるこの女子は 平中 真尋(ひらなか まひろ)である。
彼女は俺と同じく声優を目指している。クラスの自己紹介の時に、目指す『夢』が一致していた事から仲良くなった。一緒に家に帰る仲なのだが、帰りに謎の殺気を感じるため、彼女と帰る事を最近は控えている。
(殺気の主は俺の姉妹である)
「まぁ頑張ってねぇ、『芸術の春人』さん♪」
「くそぉ!今日も徹夜確定じゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
スキップで自分の席に戻る真尋とは反対に、悲しい足取りで席に座る少年が居た。
…っていうか俺だった。
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