第13話

そして、太陽はグルグル回る。白い太陽が街を越え、真っ赤に燃えて西に落ち、また白くなって上空に上がったそんな時、


「めんどうだな……」


 と、リアリーは箒で店を掃きながらつぶやいた。


(……もう1時か。あ~あ、めんどくさいな~。もう、今日締めちゃおっかな。ど~せ、今日、客少ないだろうし。いや、そういう日に限って来るんだよな。なんだかんだでイソノさんはよく来るし)


 チリとりでゴミを集め、数歩歩いてゴミ箱に入れ。ゴミ袋を取り出して、捨てようかと思うが、そんな入ってないし、明日でいいよな、と思って軽くため息。


「……ふう」


 と言って、数十秒無言になる。


 時間があいたな、と思って、なんとなく箒をまたにかけ。


「フライングアゲット……」と、軽くジャンプ。


 軽い音を立てて着地する。


 ブォォーン、と。換気扇の音が妙に響いた。


「うん、やっぱアタシには無理か……」


「にゃにがですか?」


「どわらっしゃゃぁぁぁぁい!」


「うわっ!」


 フレイヤが驚き、背後にいたソラも思わず驚く。


「どっどどど! ど~したんだよ! うわぁ、ビックリしたァ!」


「ビックリしたじゃないですよ! なんで入ってきちゃうんですか! まだ開いてないじゃないですか! CLOSEの看板下げてたじゃないですか」


「えっ、ああそうだっけか?」


「そうだっけかじゃないですよ。ソラさん! なんなんですか! なんなんですか! も~! ……ってあれ?」


 リアリーは周囲をみまわして首をかしげた。


「いつもイソノさんが「そうだっけ?」っていうのに、イソノさんどうしたんですか?」


「ああ、アイツなら……」


 ソラはふりかえり、扉を見る。ピンク色の扉の向こうから黒髪をだらりと下げた女が現れた。


「うわ! こわ! 貞子さん!」


「いや、なんで貞子さん知ってんだよ……」


 驚くリアリーにソラがつっこむ。


「イソノだよ、イソノ」


「えっ、イソノさん!」


 よく見ると、リアリーの目の前で負のオーラをあふれさせるこの女はイソノであった。


 彼女はうつむいて、地面を見下ろしながら、なによあれ、なによあれ、と念仏のように唱えた。


「えっと、なんなんのこれ?」


「幽霊に会ってきたんだよ」


 ニャンタロウはつまらなそうにつぶやいた。


「幽霊ってなんですか?」


 きょとん、とした顔でリアリーが訊ねる。


 黒猫はテーブルに地図を広げた。


「ゴーストタウン?」


「そう、無人の街、ゴーストタウン。そこに魔石があるってんで言ってみたんだけど。まさか、こうなるなんてな……」


 

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