第7話トリガー
俺はマミ(仮名)のどこに恋をしていたんだろう。どこを好きだったんだろう。
よく、『彼女のどこが好きなんですか?』という質問に『全部!』とか答える奴をテレビでよく見るが、はっきり言ってそれは正しんじゃないかと思う。
付き合う前の自分だったら「うわーテキトー」とか思っていたが、正直全部が好きでないと付き合えないのだ・・・・・・まあ俺は、彼女の全部を知った《つもり》で浮かれていただけなのだが。
でもまあ彼女の声は特に他の子よりも可愛いと思ったし、きっかけも電話だった。
当時俺は部内の女性に告白して玉砕したこともあり、演劇にうちこんでいた。
そして2回生となった夏の初め。俺は演出という大役を任された。劇の根幹を担う役職であり、人を指揮する立場となった俺。
俺は最初、恋愛感情抜きでマミをその補佐に任命する気でいた。
マジメで、人付き合いが良くて、明るい。そして何より面白い!
少し不思議オーラをまとった彼女は初めて見るタイプの女の子で俺の目には新鮮に写った。
だが彼女が俺の補佐になることはなかった。
ほんとにこればっかりは、よくわらん納得のいかない理由で彼女を補佐にすることは叶わなかった。
その時の俺は怒りと申し訳なさでいっぱいだった。謝罪の電話をいれた。そして彼女の意外な悩みを聞いた。
誰にでも分け隔てなく接する彼女でも、苦手な人物がいたのだ。
こう文章だけで見たら、そりゃ当たり前だろ、と思うだろう。
それを凌駕する何かが彼女にはあった。
彼女の言い分には不思議な説得力があるのだ。
なんなのだろう。
まるで三国志の劉備だ。
だがそんな劉備も実は関羽のことがめっちゃ嫌いでした(もちろんそんなことはわからないが)、とか言われたら誰しもがビビるように、そんな彼女にも苦手な人がいたのだ。
そこから俺は彼女に深く興味を持つようになった。
電話で何時間も会話していた。
毎日。
もっともっと知りたかった。
楽しかった。
ずっと話していたいと思った。
俺がそこまで思う相手ははじめてだった。
好きだったんだ。
また玉砕覚悟で告白しようと思った。
そして、2度目の告白は成功した。
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