第4話汚ねえゴリラとは俺のことだ
父と離婚して、母子家庭で過ごした俺はマザコンだった。
きんもっ、と思うだろう。
我慢しろ。
俺のマザコンレベルがいったいいかほどだったのか、他と比べたことがないのでわからない。
同じくマザコンだと言われている芸能人のオダギリジョーが『自分の親を大切にして何が悪い』と言って俺は少し感動した。
だが中学に入り、恋というものを知ってからは俺はだんだんと冷めていった。
おかんはというと、ほんと子離れしなさいと周りから言われるほど俺を溺愛してくれた(見る人が見れば束縛だと言うのだが、まあ愛してくれていることはわかったので感謝している)。
遅れた反抗期が中学の時に来て、母のことをうっとうしく感じた。
口喧嘩は当たり前で、肉弾戦もしばしば(強かったのでいつもぼこぼこに負ける)。
なんかよくわからない理由で反発していた自分が情けない。本当に幼すぎる。
俺にはあの頃の罪悪感が今も多少なりとも残っている。
なんでわからないんだよ、聞いてくれないんだよ。といつも俺は思っていた。
わかっていないのは俺の方だった。
母は疲れていたのだ。
女手一つで俺を育ててくれた苦労が俺にはわからなかった。
そして母は1度もその苦労を俺に伝えなかった。伝えまいとしていた。
母は大事な人が何人もいなくなっていた。母を守ってくれる人はいなかった。母を邪険にする親戚は多かった。
何も知らなかったのだ!
黒かった!
大人の世界はやっぱり黒かった!金の話ばっかりだった!
なのに俺はそんなんだった。
子供すぎた。
だから俺は母を大切にしようと思っていた。
でも大学で彼女ができた。
俺に彼女ができるなんて!
みんな驚いた。
母も驚いた。
まもなく母は彼氏を作った。
え、急に?である。
その理由を探りたくはない。
母から、寂しい、とかそんな弱気な言葉はもう2度と聞きたくない。
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