第3話ふられる
『突然こんなこと送ってすみません。別れたいです』
LINEのメッセージに唖然とした。
驚きのあまりホントに息をすることを一瞬忘れた。
頭が真っ白になるというのはこういうことだったんだな。
雑貨屋の店員がちょうど彼女へ送るプレゼントを包んでいる最中だった。
泣きたい、とかそんなことは思わなかった。
っていうか頭が追いついてなかった。
買い物に付き合ってくれた友人に別れを告げて、俺は駅のホームで考えてた。
なんて返そうかな。
まだ泣けなかった。
『好きという気持ちがなくなりました』
『嫌いという感情しか残っていない』
『長い間別れようと考えてました』
突然すぎる別れのメッセージ。
はじめて見る言葉ばかりだった。
『もうこの気持ちが変わることは絶対ありません』
1番ショックだったのはここだった。この文章一つで、彼女自身もう後戻りはしないという決意が見えた気がする。
絶対ありません。
この文章がなければ、俺はきっと『ちょっと待ってよ、急に?』とか『一回電話して話し合おう』とか送ってた。
でも絶対にないと言いきられた僕は『今までありがとうね』
『それじゃあ』
『バイバイ』
最後に明るい印象で手を振っているネコのスタンプを送った。
俺は全然気にしてないぜ!イエーイ!!!
って嘘つきたかったのだ。
結果、それは良かったと思う。
彼女と飲みに言った友達が「アイツはその嘘信じてるよ」って言ってくれた。(注︙アイツはその嘘信じてるよ、などと本当に友達がそんなカッコつけたセリフを言ったわけでは無い。彼の飲みに行った話から推測してそうくみ取ったのだ)。
その時のネコのスタンプは今でも見るとちょっと胸が苦しくなる。
なんだか俺に対しても手を振って別れを告げてるみたいなのだ。
恥ずかしい話だが、彼女は俺のことをネコと呼んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます